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ブックマーク / synodos.livedoor.biz (30)

  • SYNODOS JOURNAL : 歴史の証言者たち――日本の『制度』をささえた人びと〈3〉堀利和〜憲政史上初の、盲人の国会議員〜 大野更紗

    2012/9/219:0 歴史の証言者たち――日の『制度』をささえた人びと〈3〉堀利和〜憲政史上初の、盲人の国会議員〜 大野更紗 (*稿では、現在「差別用語」とされている表現を、資料・記録の記述に即し、変更をせずに使用しています) 瞼を閉じて、右手をもらったばかりの名刺の上にかざす。「堀利和(ほり としかず)」と印刷してある文字のうえに、点字の突起。 -このポツポツ、堀さんの『堀』はどの部分が『堀』なんですか全盲の翁に、目が見えるものが赤子のような質問をする。堀さんは、まるで「見えている」かのように、机の上に置いた名刺の、その紙の上のさらに小さな突起を指さしながら、解説して下さる。「これだよ、この2つかたまっているのが。ここが『ホ』・『リ』」 -ん? どこですか?「『ズ』が難しいんです。単なる50音は1マスでいいんだけど、濁音は、2マスぶんを使います」人差し指の先端に全神経を集中して、

  • SYNODOS JOURNAL : 選挙制度はどう改革されようとしていたか 大屋雄裕

    2012/9/49:0 選挙制度はどう改革されようとしていたか 大屋雄裕 ■多数派支配の限界 Synodos Journalにおいて、いわゆる尊厳死法案の問題が数人の論者によって取り上げられていた。私にはその問題について知見も特定の意見もない。ただ、人の望まない死が強制されるようなことは望ましくないと考える一方、「生命への権利」をどれだけ擁護しても「冷たい方程式」のような極限事例において生への可能性を規定するのは《どれだけの資源があるか》であり、相対的な多数を生き延びさせるために少数派に死が迫られることもあり得るだろうと思うだけである(もちろん現代日社会がそのような極限的状態にあるとはまったく考えていない)。 私に言えるのはただ、仮にそのような決定が必要な状況があったとき、《誰が死ぬか》をむき出しの暴力が決めるよりは、民主政プロセスに委ねられた方が「まだまし」だろうという程度のことであ

  • SYNODOS JOURNAL : 尊厳死法案の問題点〜法律家の立場から〜 青木志帆

    2012/8/239:0 尊厳死法案の問題点〜法律家の立場から〜 青木志帆 第1 はじめに  今、医師と患者が尊厳死を選択することを保障する法律が国会に提出されようとしています。「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(以下、「尊厳死法案」といいます。)」です。この法案の是非をめぐり、日尊厳死協会、障害当事者、難病患者、宗教界、法曹界などで激しく議論が交わされています。ただ、この議論が広く一般化されているかというと、必ずしもそうではないように思います。 「生命」を左右する法律であるにもかかわらず、ほとんど注目されずにその採否が決定されてしまうのは、法案の是非にかかわらず問題でしょう。そこで、現在の議論状況を整理した上で、主に法律的な見地から、この法案がどうあるべきなのかについて考えてみたいと思います。第2 尊厳死法案に関する議論の争点整理 1 尊厳死法案とは まず、「尊厳死」

  • SYNODOS JOURNAL : 緊急提言 いま、わたしたちに「死ぬ権利」は必要なのか? 川口有美子

    2012/8/99:0 緊急提言 いま、わたしたちに「死ぬ権利」は必要なのか? 川口有美子 2012年7月31日付けの「東京新聞」朝刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012073102000091.html によると、超党派の国会議員がつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(以下、議連)が、今国会への法案2案の上程を決めたそうですが、わたしは引きつづきこれらの法案の上程に反対します。 これまで、安楽死尊厳死法制化の波は2回(1979年日安楽死協会「末期医療の特別措置法」草案を正式発表、2005年与党による「尊厳死とホスピスを推進する与党議員懇話会」結成)ありましたが、三度目の上程の噂を聞いたのは昨年の秋ごろでした。これまでわたしは、尊厳死の法制化ではなく、たんに尊厳死の賛否で議論が沸騰し世論が混迷することを恐れて、過

  • SYNODOS JOURNAL : 「津波後は旅の者に満たされる」 ―― 大文字の復興と小文字の復興 宮本匠

    2012/8/29:0 「津波後は旅の者に満たされる」 ―― 大文字の復興と小文字の復興 宮匠 わたしはこれまで、2004年の新潟県中越地震によって被災した山間集落の復興支援に関わりながら、被災者自身による内発的な災害復興がどのように可能なのか、そこで外部支援者にどのような役割が果たせるのかを研究してきた。  「被災すること」は、ひとりひとりの被災者によって、またひとつひとつの被災地によって多様であるから、その復興もまた多様である。現代社会は、社会全体で積極的な理想や夢を共有することが困難な時代だから、一層のこと、多元的な復興プロセスが求められることになる。また、災害による被害は、既存の社会課題を増幅させたかたちで現れるから、被災後に被災者が直面する復興の課題は、一朝一夕には解決することができない長い道のりとなる。 そこで、まずは被災者自身が自分たちの暮らしや地域のあり方を省みて、主体的

  • SYNODOS JOURNAL : 放射線の健康影響をめぐる誤解 片瀬久美子

    2012/7/199:0 放射線の健康影響をめぐる誤解 片瀬久美子 東京電力の福島第一原発の事故から1年数ヶ月過ぎて、福島県内に住む人達の被曝量の計測が進み、そのデータが次々と公開されてきました。健康被害のより正確な見積もりが可能になってきたことで、事故当初に情報も少なくパニックになっていた頃と比べると、社会の様子は落ち着いてきました。被災地では、復興に向けての取り組みが格的に行われるようになってきています。しかし、一方で放射線をめぐるあやしい情報はまだしきりに流され続けており、それによって不安を募らせている人達もいます。ここでは、誤解されがちな放射線の健康影響について解説します。■誤解されがちな放射線の健康影響 【その1.甲状腺の検査結果】 原発事故による子ども達への健康影響を心配して甲状腺検査を希望する人達が増えています。  今年2月23日発売の週刊文春に、札幌で自主的に行われた甲状

  • SYNODOS JOURNAL : ナショナリズムの力——リベラル・デモクラシーを下支えするもの 白川俊介

    2012/7/29:0 ナショナリズムの力——リベラル・デモクラシーを下支えするもの 白川俊介 「グローバリゼーション」は今や世界の常識となっている。いわゆる「リーマンショック」以後もそれは変わっていないようである。今の世界や日には、「グローバル化」や「ボーダーレス化」というのが世の中の趨勢であって、それに乗り遅れてはいけないというような風潮があるように思われる。しかし、はたしてグローバル化/ボーダーレス化した世界は当に望ましいのだろうか。とりわけリベラル・デモクラシーとの関連で少し考えてみたい。 たとえば、鳩山元総理は「日列島は日人だけのものではない」という趣旨の発言をした。菅前総理は「平成の開国」なるものを掲げ「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」への意欲を示し、そうした路線は野田総理にも引き継がれている。これらの背景には、「開国」という言葉に如実にあらわれているように、国家

  • SYNODOS JOURNAL : 並立制・併用制・連用制(下) 大屋雄裕

    2012/2/1510:8 並立制・併用制・連用制(下) 大屋雄裕 さて、選挙制度に関する知識を確認したところで、それをどう評価すべきかという議論に移ろう。何よりも重要なのは、名前がよく似ていて非常に混同されやすいにもかかわらず、並立制と併用制・連用制のあいだには大きな性質の違いがあるということだ。 ■並立制と併用制・連用性のあいだ まず、小選挙区制であれば二大政党制を基礎として与野党の入れ替わりという政権交代が実現するのに対し、比例代表制では中小政党が数多く分立するので連立政権が原則になり、連立の組み換えという形でゆるやかな政権の移行が基になることを確認しておこう。並立制は単純に小選挙区制と比例代表制を折衷したものであり、選挙結果も両者の中間になる。 これに対し併用制・連用制は実質的な比例代表制であり、結果として実現する政治の性質も比例代表制のもの(小党分立と連立政権)になると予想され

  • SYNODOS JOURNAL : 並立制・併用制・連用制(上) 大屋雄裕

    2012/2/1411:58 並立制・併用制・連用制(上) 大屋雄裕 今は昔のことだが、大御所先生が当時刊行したばかりの憲法の教科書で勉強していたところ、小選挙区比例代表並立制と併用制の区別がまったくできていない記述に出くわして仰天したことがある。政権交代から選挙制度改革へとまさに進んでいる時期だったにもかかわらず、というのは選挙制度というのが所詮は技術的な問題に過ぎないと軽視されていたということなのか、それだけこのあたりの違いがややこしいということなのか(その後の版では修正されている)。最近は衆議院の定数是正にからんで小選挙区比例代表連用制の導入という話題が出ているが、相変わらず制度の中身を理解せずに議論している人があちらこちらにいるのを見ると、やはり後者なのかもしれない。 ■連用制ここがおかしい? というのは産経新聞が前回総選挙のデータを基礎にした試算を公表し、連用制では一票の価値に大

  • SYNODOS JOURNAL : 震災後の日本社会と若者(最終回) 小熊英二×古市憲寿

    2012/1/1910:14 震災後の日社会と若者(最終回) 小熊英二×古市憲寿 古市憲寿著『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)刊行記念イベント   ―― 小熊英二・古市憲寿対談 / 2011年11月18日東京堂書店(構成 / 宮崎直子・シノドス編集部) 「震災後の日社会と若者」(1) ⇒ http://synodos.livedoor.biz/archives/1883807.html 「震災後の日社会と若者」(2) ⇒ http://synodos.livedoor.biz/archives/1884961.html 「震災後の日社会と若者」(3) ⇒ http://synodos.livedoor.biz/archives/1885407.html ■信頼が崩れた 小熊 それでは最後に、震災で何が変わったのか、について語りましょう。私は一番変わったのは、秩序に対する信頼感だ

  • SYNODOS JOURNAL : 震災後の日本社会と若者(3) 小熊英二×古市憲寿

    2012/1/189:56 震災後の日社会と若者(3) 小熊英二×古市憲寿 古市憲寿著『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)刊行記念イベント   ―― 小熊英二・古市憲寿対談 / 2011年11月18日東京堂書店(構成 / 宮崎直子・シノドス編集部) 「震災後の日社会と若者」(1) ⇒ http://synodos.livedoor.biz/archives/1883807.html 「震災後の日社会と若者」(2) ⇒ http://synodos.livedoor.biz/archives/1884961.html ■3.11で何かが変わったのか 古市 一口に「震災後」といっても、その人の住む場所や置かれたポジションによってまったくリアリティが違うなと思います。東京など中央にいた言論人によく見られた言説ですが、3.11をきっかけに日は変わって、新しい公共性や希望が生まれるというよ

  • SYNODOS JOURNAL : 台湾立法委員選挙の概説 菅原琢

    2012/1/1412:23 台湾立法委員選挙の概説 菅原琢 台湾では2012年1月14日に、総統選挙と国会に相当する立法院の委員選挙が行われる。日では中国国民党の馬英九総統に、女性のリーダーである蔡英文・民主進歩党主席が挑む総統選への注目が圧倒的に高いが、制度や歴史を見ると立法委員の選挙も非常に重要である。日では立委選についての報道が少なく、あったとしても特殊な候補を取り上げる断片的なもので、大多数の人は結果だけを受け取ることになるだろう。そこで今回は、台湾政治制度と立委選について概説しておきたい。 なお、筆者は台湾政治の専門家ではなく、今回の記事でも政治制度、とくに選挙制度の解説と分析を中心に記述する。政局等、詳細な選挙戦の経過については、小笠原欣幸東京外国語大学准教授のウェブサイト(http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ogasawara/inde

  • SYNODOS JOURNAL : 震災後の日本社会と若者(1) 小熊英二×古市憲寿

    2012/1/169:46 震災後の日社会と若者(1) 小熊英二×古市憲寿 古市憲寿著『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)刊行記念イベント   ―― 小熊英二・古市憲寿対談 / 2011年11月18日東京堂書店(構成 / 宮崎直子・シノドス編集部) 「3.11で社会は変わった」という言説に根的な疑問を投げかけ、震災後の若者たちの反応は「想定内」だった、と喝破した若き社会学者・古市憲寿さん。人は自分がリアルタイムで経験した事件を過大評価しがちである、と指摘する小熊英二さん。この両者が古市さんの新刊『絶望の国の幸福な若者たち』で提示された「震災後」の論点に検討を加え、「当に震災後に日社会は変わったのか」改めて語ります。はたして今、研究者は何ができるのか——。(東京堂書店HPより) 絶望の国の幸福な若者たち 著者:古市 憲寿 販売元:講談社 (2011-09-06) 販売元:Amazo

  • SYNODOS JOURNAL : 予測可能性と統治の正統性 大屋雄裕

    2011/6/2120:19 予測可能性と統治の正統性 大屋雄裕 「廊下を走るな」という校則は、多くの学校にあっただろう。では「廊下を飛ぶな」という規則は、どうだろうか。「石を触って金に変えるな」というルールはあるだろうか。 ■ルールがつくられる意味 「十七条憲法が『和をもって貴しとなせ』とはじまるように、日文化は争いを嫌い、和を尊重します」という類の説明が、時折なされる。だが当にわれわれ日人が古来「和」を好んできたのなら、なぜ聖徳太子はわざわざそれを尊重せよなどというお説教をしなくてはならなかったのだろうか。そもそもそのすぐ後に「人みな党あり、また達(さと)れるもの少なし。是をもって、あるいは君父に順(したが)わず、また隣里(りんり)に違(たが)う」とあるように、現実にはみんな君主にも父親にも従わないし、周囲の人びととも争いを起こしているという認識が、十七条憲法自体にある。 ■喧

  • SYNODOS JOURNAL : ネット右翼の正体とはなんなのか 藤井誠二×安田浩一×李春熙

    2011/6/1413:49 ネット右翼の正体とはなんなのか 藤井誠二×安田浩一×李春熙 ■今までとは違う「コード進行」の排外主義が出てきた   藤井 こんにちは。ノンフィクションライターの藤井誠二です。ニコ生ノンフィクション論の第三弾をお送りします。講談社から『g2』(vol.6)というノンフィクション雑誌に『在特会の正体』というルポを書いた安田浩一さんが今日はゲストに来てくださっています。安田さん、今日はよろしくお願いします。   藤井 「在特会」というものについては後程、安田さんの取材報告もお聞きして、詳しくはお話をしていただきますけれども、もう一人のゲスト、弁護士の李春熙さんです。よろしくお願いします。   李 李春熙(リー・チュニ)です。よろしくお願いします。   藤井 私事なんですけど、李さんと私、学校の先輩と後輩同士なんです。   李 藤井さんが、だいぶ上の先輩なんですけど。

  • SYNODOS JOURNAL : Head of Stateの存在理由 清水剛

    2011/5/913:21 Head of Stateの存在理由 清水剛 天皇皇后両陛下が5月6日、被災した岩手県を訪問された。その前には東京や埼玉の避難所、そして千葉県や茨城県、東北では宮城県の被災地を訪問され、また震災後には異例のビデオメッセージを発せられている。これらを報じる一連の報道を読みながら、Head of Stateというものについて改めて考えていた。 ◇元首とはいったい何か?◇ Head of Stateは日語では国家元首と訳される。別にこれで間違いではないのだが、国家元首という言葉はどうも国内的に主権者や統治者に近いニュアンスをもってしまう。しかし、少なくとも現代においては、国内的にどのような権限をもつかに関わりなく、対外的に国家を代表する個人(まれに団体)がHead of Stateと呼ばれる。以下、元首という言葉はこのような意味でのHead of Stateを(とり

  • SYNODOS JOURNAL : 私たちはポピュリズムの時代に生きている――『ポピュリズムを考える』刊行によせて 吉田徹

    2011/3/2712:0 私たちはポピュリズムの時代に生きている――『ポピュリズムを考える』刊行によせて 吉田徹 先進デモクラシーの国々の多くは、ポピュリズムの時代を迎えている。イタリアのベルルスコーニ首相、フランスのサルコジ大統領だけではない。アメリカでは先の中間選挙で草の根保守としての「ティー・パーティ」が台風の目となり、安定した政治を経験しているかにみえる北欧諸国でも極右ポピュリズム(「ナショナル・ポピュリズム」)政党の躍進が止まらない。日でも統一地方選挙を迎えて、ポピュリスト的な政策を打ち出す「首長新党」「地域政党」が既存政党の一角にい込み勢いをみせている。こうしたトレンドは、偶然の一致では決してない。ポピュリズムを考える―民主主義への再入門)』(NHKブックス)で目的としたのは、このポピュリズムのメカニズムを理解すること、つぎにそれがなぜ生じるのかのダイナミズムを抽出するこ

  • SYNODOS JOURNAL : 「便乗値上げ」と市場の機能 清水剛

    2011/3/2211:9 「便乗値上げ」と市場の機能 清水剛 最初に、この大震災で亡くなられた方々、ご遺族の方々に対し謹んでお悔やみ申し上げるととともに、被災者の方々、とりわけいまだ避難所で厳しい生活を送っておられる方々に対し心よりお見舞い申し上げます。また、被災者の方々の救援や福島の原発への対応のために日夜奮闘しておられる多くの方々に改めて深く感謝申し上げたいと思います。 さて、このような状況のなかで「便乗値上げ」を取り上げようと思ったのは、経済学のツールも使う経営学者としてはいささか気になる議論があったためである。◇「便乗値上げ」は合理的?◇ 大震災の後の3月13日に、秋葉原にあるらしいある会社の社長さんが、ブログに地震で首都機能が麻痺しているいまが(便乗)値上げのチャンスだと書き(ザ・商売人|Kozakai社長のアメブロ http://ameblo.jp/kozakai-hidel

  • SYNODOS JOURNAL : リスク認知のゆがみ方 筒井淳也

    2011/3/1610:53 リスク認知のゆがみ方 筒井淳也 福島第一原発は、記事執筆の現時点でも予断を許さない状態である。このような段階で人々のリスク認知のバイアスについて記事を書くと事後的には不適切になる可能性もあるが、それでも、救済を必要としている人々の状態が深刻である地震後5日の段階で、報道・一般の人々の会話は、あまりに原発事故に偏っていた。 ◇心の「重み付け」によってゆがむリスク評価◇ リスク認知のバイアスは、簡潔に言えばリスクについての「心理的重み付け」によって生じる。 有名なのは行動経済学の知見で、それは「人間はリスクについて、利得についてはリスク回避的(貰えるものは利得が少なくても確実にもらう)であり、損失についてはリスク追及的(損失額が大きくとも確率が低ければリスクをとる)」といったものである。 他方で、原発リスクといった事象については、心理学のリスク論の方がよく当てはま

  • SYNODOS JOURNAL : 経済による二次災害を最小限に!―― 50兆円規模の東日本大震災特別公債を 飯田泰之

    2011/3/1520:1 経済による二次災害を最小限に!―― 50兆円規模の東日大震災特別公債を 飯田泰之 東日大震災(仮称)は15日午後の現時点においてもなお、その人的被害の全容がつかめていない。さらに、福島原子力発電所の被害は当初の想像を超えたものに進行しており、余談を許さない状況にある。現段階では被災した方々の一刻も早い救助と原子力災害の拡大回避が最重要の課題であることは言うを待たない。未曾有の災害を目の当たりにして現時点では多数の情報が錯綜を続けている。私たちは冷静に情報を判断し、行動することが求められている。ネット上に氾濫するデマ・不確定情報については荻上チキのブログ(荻上式BLOG:http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/)の一連のエントリを参照されたい。 被害規模も判明していない(それどころか拡大中かも知れない)状況でカネの話というと眉をひそめられ