器の底が「酒」の文字で埋め尽くされた9世紀後半(平安時代)の土師器(はじき)が、千葉県流山市の前平井遺跡で出土した。 発掘した県教育振興財団文化財センターは「文字を実際の酒の代わりにし、祭祀(さいし)に用いた可能性がある」と推測している。 この器は直径約12センチ、底の径6センチ、深さ3・7センチの坏(つき)。内側と外側に20字以上の文字が墨書されており、底には「酒」の字が同じ向きで6字以上並んでいた。 外側には、道教の呪符に用いられる中国・唐代の則天文字に似た同じ文字も二つ書かれていた。 「酒」の文字が書かれた墨書土器は少なくないが、いずれも酒を入れる器であることを示したもので、今回のように多く書かれた例はないという。