なんとか世界遺産登録が決った「明治の産業革命」遺産だが、7月4日の予定だった審議採決が1日ずれ込んだことについて、どうにも不思議な誤解が日本では蔓延している。いやはっきり言ってしまえば、日本のテレビや新聞の報道は、そもそもが事実誤認の誤報だと断言していい。 まず結論から言っておこう。ボンでの世界遺産委員会において、韓国は 「明治の産業革命」遺産の登録に一度も反対していない。 世界遺産委員会での決定が遅れたのは「韓国が反対した」からだと言うのは、報道機関があまりに常識を知らなさ過ぎる。世界遺産委員会は新規の遺産登録に関しては全会一致が原則で、会議が開かれる前には21の理事国すべてが賛成を表明するよう議長国が調整するのが慣例、会議における審議も採択もたぶんに儀礼的なものだ。 1996年の広島・原爆ドームにアメリカが反対、中国が棄権したことが例外中の例外で、以後20年近く全会一致が守られずに投票