脳梗塞(こうそく)をきっかけに認知症を発症し、介護施設に入所した80代女性のYさん。入所して1カ月がたったころ、施設の職員がYさんのズボンのポケットにティッシュがたくさん詰め込まれているのに気付きました。どうやら自分で食堂にあるティッシュを集めていたようです。職員が注意してもYさんはやめず、施設の事務長に「認知症からくる『収集癖』」と指摘されます。一見すると無意味に思える行為にも意味があるのではないか――。困り果てた職員から相談を受けた認知症ケアアドバイザーのペホスさんはそう考え、Yさんの行動の背景やきっかけを探っていきます。すると、施設の利用者がやりたいことを自由にできない状況が浮かび上がってきました。ペホスさんが解説します。 認知症で1人暮らしが難しくなり、介護施設に Yさん(80代・女性)には50年、連れ添ってきた夫がいましたが、8年前に亡くなり、落ち込んでいました。Yさんも夫も一人