数字の表記を考える 1 裁判文書が平成13年1月から左横書きになった。 左横書きになってから,裁判文書(調書)上の金額の表記について,「2万2,500円」や「3万450円」のような表記に出会ったことがある。金銭支払いの調停調書に「125,468円」のような金額の表記を見たこともある。「あれれっ」と思ったものである。 「縦書き」の文章中に金額を表示する場合,一般的には漢数字で「千二百三十四万五千六百七十八」のように書く。しかし,これでは見た目に数的な把握が容易でない。裁判文書(判決,調停調書等の債務名義)では,従来から,独自に「一二三四万五六七八円」,「一二万〇〇五六円」のように「万」の文字を入れ,4桁で表記するのが実務慣行であった。 この表記法は,元裁判官の倉田卓次氏も「福沢諭吉の考案だそうである」として,これを推奨しているし(注1),従来から判例集登載用語方式にもなっている。裁判所書記官