世の中に登場して半世紀しか経たないコンピュータにも、歴史が動いた「瞬間」はいくつも挙げることができる。ここに紹介する「ビジュアル」もまさしくそのひとコマ――。 「本家」をしのぐ?互換機のスペック 今回ご紹介する写真はモノクロームである。わざとレトロな雰囲気を演出したわけではなく、手元に残っていたのがモノクロ写真だけだったのでご容赦をいただきたい。 だが、たとえ写真はモノクロームでも、この一件はぜひとも本コラムで取り上げたかった。なぜならば、日本のパソコン市場の変遷の中でも、かなりの衝撃が走った出来事だったと思うからである。 時は1987年3月13日。セイコーエプソン(以下、エプソン)が、当時パソコンのベストセラーだったNECのPC-9801Vシリーズの互換機「PC-286シリーズ」を発表した。いわゆる「98互換機」が初登場した瞬間である。当時、日本のビジネスパソコン市場シェアの8~9割を占
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