高温下で栽培したレタス。水で育てた上段と、ある溶媒を与えた下段で成長の度合いが違う=関原明・理化学研究所植物ゲノム発現研究チームリーダー提供 「生物刺激剤」という物質や微生物が注目されている。植物に働きかけて環境ストレスへの耐性を高める働きがあり、世界の農業に変革をもたらすと期待されている。その候補に、ある「身近な液体」が名乗りを上げているという。いったいなんだろうか。 理化学研究所のチームは5年ほど前、効率のよい生物刺激剤を探す実験をしていた。いくつかの物質を水や有機溶媒に溶かして植物に与え、塩のストレス(塩害)をかけて反応の違いをみた。 ところが、チームリーダーの関原明(せき・もとあき)さんは、意外な結果に気づいた。 まず溶媒だけの影響を調べるため、ある溶媒を植物に与えると、塩への耐性が出た。さらに、溶媒を6種類用意し、それぞれ何も溶かさずに植物に与えると、耐性が表れたのはその溶媒だけ