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ブックマーク / agora-web.jp (36)

  • 中小企業金融円滑化法再延長の是非

    中小企業が金融機関からの借入金の返済猶予の要件を緩和し容易にする中小企業金融円滑化法(以下、「円滑化法」という)の施行から、12月4日で丸2年が経過した。金融庁によれば、同法施行日から今年6月末までの間に実行された中小企業に対する条件変更の件数は約30万社、債権数で約115万件、金額にして累計約38兆円とされており、専門家の間では、このうちいわゆる「隠れ不良債権」額は、4兆円から5兆円にのぼると言われている。帝国データバンクによれば、円滑化法を利用して借入金の返済猶予を受けた後に倒産した企業が、今年10月には22件となり、9月の19件を超えて過去最高になったというが、実質廃業に追い込まれた中小企業を含めれば、その数はさらに増加する。足元の景気回復が遅れる中、「中小企業の倒産を回避する」ことだけを是とするのであれば、来年3月に期限切れとなる円滑化法を再延長するよりないが、自見金融相は、11

    中小企業金融円滑化法再延長の是非
  • 携帯ゲームと証券会社のアナリストと行動ファイナンス

    最近、アゴラで行動ファイナンスについて活発に議論されていた。そこで今回は長年、金融業に携わって来た人間として筆者も行動ファイナンスに関して幾つかの知見を提供したい。アカデミックな行動ファイナンスの研究は、伝統的なファイナンス理論で説明できなさそうな現象をデータ・マイニングで見つけてきて、それに心理学の論文の要旨をくっつけるという、クリエイティブな作品が多い。データは地域や期間をいろいろ変えて、自分のストーリーに合うものをうまく探しだせばよいし、心理学には人々が過剰反応するケースや、逆に過少反応するケースとその論文が常に存在するので、研究者にストーリー・テラーとしてのちょっとした才能があれば、どんな研究論文も創りだせる。その結果、行動ファイナンスは経済学部の学生が博士号を取得したり、ポスドクが大学の正規の職を得るために大いに役立ってきた。しかしながら、行動ファイナンスに基づく統計モデルを使い

  • 博士課程:一握りの勝者を作るために、膨大な敗者を作り出して良いのか? 井上晃宏 : アゴラ - ライブドアブログ

    博士課程:一握りの勝者を作るために、膨大な敗者を作り出して良いのか? 井上晃宏 / 記事一覧 博士課程が大学教員を養成するのに役だつことはある。企業研究職の一部にもなれるだろう。しかしながら、博士の大半は、専門とは何の関係もない職に就く。その知識は、彼らの頭の中に死蔵され、世の中の役に立つことはない。言い換えると、博士になったことで、その他就職組の生涯所得は減少してしまう。 この問題の背後には、年齢制限に厳しい雇用慣行がある。たかだか、5年程度就職が遅れただけで、「2階」に上がれなくなってしまう理不尽さは理解しているが、変える方策がないので、受け入れるしかない。 学部教育の大半は無駄だが、学部を修了したからといって、就職が高卒より不利になるわけではない(機会費用を計算すればマイナスかもしれないが)。しかしながら、大学院博士課程を出ると、確実に、学部卒や修士卒よりも、就職が不利になるのであ

  • 原発事故の損害賠償、財源負担者の順位づけが重要

    原発事故の賠償問題の対応は、今こそ冷静な議論が求められる。損害賠償は長期に及ぶだけに、最初の第一歩でつまづくと将来に禍根を残しかねない。 損害賠償の最大の焦点は、その財源を誰が負担するかである。「東京電力」が責任を負うべきだとか、「国」もしかるべき責任を負うべきだ、といった議論がでているが、負担を負うのは生身の人間しかない。「東京電力」とか「国」という生身の人間はいない。「東京電力」が負担を負うとなれば、東京電力にかかわるステークホルダー、すなわち株主や経営者や社員や債権者や顧客という生身の人間が負担を何らかの形で分かち合うことになる。「国」が負担を負うとなれば、究極的には我々国民の誰かが何らかの形で負担を分かち合うことになる。だから、「東京電力」とか「国」というスケープゴートがあって、そこに負担を負わせておけば一般国民には一切累が及ぶことはない、などということはありえない。 では、損害賠

    原発事故の損害賠償、財源負担者の順位づけが重要
  • 「何を捨てるか」が問われる時代 - 『2100年、人口3分の1の日本』

    2100年、人口3分の1の日 (メディアファクトリー新書) 著者:鬼頭 宏 販売元:メディアファクトリー (2011-04-28) 販売元:Amazon.co.jp ★★★☆☆ 電力不足で節約してつつましく暮らそうという話が多いが、好むと好まざるとにかかわらず、日経済はこれからつつましくなるだろう。その最大の制約は、人口の減少である。書はこのトレンドを2100年まで延長して何が起こるかを予想している。 タイトルのように、2100年に日の人口は現在の1/3、約4000万人になり、世界の1.8%の小国になる。そのとき経済規模がどれぐらいになるかは労働生産性によるが、今のGDPを維持するだけでも年率1.2%で労働生産性が上昇しなければならない。最近の実績は0.7%なので、これはかなり高い目標だ。だから今のままでは、日経済は縮小するだろう。 一人あたりGDPを維持するためなら生産性上昇率

  • なぜトップは怒鳴ってはいけないのか

    経済学的に考えたときに、組織運営にとって肝要なことは、(1)組織の個々の構成員に適切な誘因(incentive)を与えることと、(2)構成員それぞれの行動が互いに整合的なものとなるように調整(coordination)をうまく行うことの2点であるといえる。まずは、皆に「やる気」を起こしてもらう必要がある。このために(1)が必要になるが、この課題が達成できただけでは十分ではない。 皆がやる気を出していても、それだけでは、それらが空回りするだけで終わりかねない。そうならないためには、各構成員の行動が相互にかみ合ったものになるように調整されなければならない。そうした相互調整が可能になるためには、その前提として構成員間での情報伝達・コミュニケーションが不可欠となる。特定の情報は関連した部署において「分散的に保有」されているのが一般的だからである。 人間の認知能力には限界があるので、ある程度以上の規

    なぜトップは怒鳴ってはいけないのか
  • 円安で株価が上昇しなくなった

    円が売られている。今日のドル円相場は1ドル85円以上で取引されている。一方で日経平均株価は下落した。実態はどうであれ、トヨタ自動車やキャノン、ソニーのような輸出産業に経済が牽引されていると信じられている日は、円安になれば株価が上がり、円高になれば株価が下がる、ということを繰り返してきた。日経平均株価とドル円レートはきれいな逆相関を描いていたのである。しかし311以降、この関係が崩れ始め、今日はまさに逆になった。つまり円が売られドルやユーロに対して安くなり、同時に日株も売られ安くなったのである。 出所:Yahoo!ファイナンス等から筆者作成 311以降の日経済は供給側が制約になりつつある。首都圏の電力不足により多くの工場が稼働をストップさせている。もちろん地震や津波で直接の被害を受けた北関東・東北地方の工場もまだ回復していない。自動車産業をはじめ、日の製造業は複雑なサプライチェーンに

    円安で株価が上昇しなくなった
  • 大学は東電に「汚染」されている - 純丘曜彰

    総額およそ5億円。これほどの大金が、東京電力から東京大学大学院の工学研究科に寄付口座としてだけでも流れ込んでいる。これは、東大の全86寄付口座の中でも、単独企業としてあまりに突出した金額だ。その内訳は、以下のとおり。 建築環境エネルギー計画学  ・・・  単独で1億4000万円 都市持続再生学  ・・・  14社で1億5600万円 ユビキタスパワーネットワーク寄付口座  ・・・  3社で1億5000万円 核燃料サイクル社会工学  ・・・  単独で1億5000円 低炭素社会実現のためのエネルギー工学寄付研究ユニット ・・・ 単独で1億5000万円 出典 http://www.u-tokyo.ac.jp/res01/pdf/20110301kifu.pdf 東大だけではない。東工大や慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は現ナマをばらまいている。これらの東京電力寄付講座の内

    大学は東電に「汚染」されている - 純丘曜彰
  • 今は間違いなく円高である。 - 知民由之

    ドル円相場が70円台に突入した円高を目の当たりにしても、なお、対ドルで円高が進んだからといって、実質実効為替レートでは円高ではないと議論を展開する人が出てくると思われるが、筆者は、実質実効為替レートのこのような使われ方に対し極めて強い違和感を覚えている。 日銀公表の1月の実質実効為替レートは103.1であり、90年からのの平均値108.5に比べ、まだ5%も割安な水準にあり、確かにこの指標が正しいのであれば、決して現状は円高ではない。しかし、日銀も実質実効為替レートの使用に対しては『様々な仮定やデータ制約のもとに計算されており、また、実質化、実効化の両面で様々な論点があり、競争環境を過去と比較する際には、単純に水準を比べるのではなく、様々な要素に十分留意して行う必要がある』と、警鐘を鳴らしており、すなわち、90年からの平均よりまだ割安だとか、95年の最高値である151からは、ぜんぜん割安であ

    今は間違いなく円高である。 - 知民由之
  • 我々は音を立てずに復興する

    旅先でよく「何人ですか?」と訊かれる。以前は、「日人です」とはっきりと答えることを躊躇した。なぜなら、そう答えるとボラレたり、騙されたりする可能性が飛躍的に向上したからだ。 しかし、30数カ国を旅し、複数の国の人たちと実際に仕事をしてみた結果、「日人はもしかしたら世界一優秀な民族ではないか」と思えるようになった。これは別に愛国心からではなく、単純に比較検討した結果だ。 だから、今は同じ質問をされても、はっきりと「日人です」と言えるようになった。 東北地方太平洋沖地震で多くの人が亡くなったが、その一方で世界中から日人のモラルの高さに賞賛の声が挙がっている。その理由の1つに、我々は「最悪の事態」を常に想定し、またそのように教育されてきたことが挙げられる。 地震や津波、それに火災を常に想定し、その準備を怠らない。高さ10mもの堤防を備えている国などそうそうない。 仕事でもそれが当てはまる

    我々は音を立てずに復興する
  • 「1%の違い」と政府の信頼性 -  櫻川昌哉

    政府は、2011年1月21日に、「経済財政の中長期試算」を発表し、政府債務残高(対GDP比)のシミュレーション結果を公表した。目下危急の状況にある政府の財政運営の考え方を知るうえで大変貴重な資料であり、かつ財政危機の可能性を推し量るうえで興味深い。 以下、「経済財政の中長期試算」への評価をしてみたい。 政府は、2015年度までにプライマリーバランス(対GDP比)の赤字幅を2010年度比で半減し、2020年度までに黒字化を実現するという政策目標を前提に、2021年度以降公債等残高(対GDP比)を安定的に低下させるという試算結果を発表した。結論から言えば、試算結果は楽観的に過ぎ、信頼できない。 政府の試算結果は、今後、金利と成長率がほぼ同じ率で成長するという前提を置いているが、この前提の持つ意味合いは小さくない。最近の財政改革論議ですでに承知の方も多いと思われるが、将来の成長率予想を高く見積も

    「1%の違い」と政府の信頼性 -  櫻川昌哉
  • デフレの何が悪いのか

    かつてはネット上で一部の学生に人気のあったリフレも最近はすっかり下火になって、「量的緩和で株価が上がる」とかいうオカルト的な(因果関係の証明できない)話しか論拠がなくなったようだ。ただ世の中にはデフレが諸悪の根源であるかのように騒ぐ人がまだいるので、問題を整理しておこう。 私のブログ記事でも書いたように、ゆるやかな(予想できる)デフレには大きな弊害はない。よくいわれるデフレの弊害としては、次のようなものがある: 実質賃金が上がって企業収益を圧迫する:これは岩田規久男氏が証明したように、事実ではない。2000年代に日の実質賃金は下がっている。 実質債務が増えて企業経営が苦しくなる:これも岩田氏が示すように、事実ではない。企業は借り換えで実質金利を下げることができ、事実下がっている。 円高になって輸出産業が困る:デフレによる円高では外貨建ての価格は変わらず、国際競争力は同じ。 自然利子率がマ

    デフレの何が悪いのか
    daniel1983
    daniel1983 2011/03/03
    ユニクロのようにデフレや円高のメリットを生かすサービス業がもっと出てくることが重要
  • MobileMeもDropboxも違法である

    きょうの城所さんの記事には多くのアクセスが集まりましたが、ちょっとむずかしいので、法律の素人でもわかるように素人の私が解説します。 最高裁判決のポイントは簡単にいうと、インターネットを使って他人の著作物を送信した場合は、それが自分だけにあてた通信であっても自動公衆送信となり、それを行なったのがユーザーであっても、設備を提供した業者が自動公衆送信の主体になるということです。この判決の射程は非常に大きく、およそインターネットのサーバやルータはすべて自動公衆送信装置となり、公衆回線で他人の著作物を送信することはすべて違法になります。 抽象的にいうとわかりにくいので、実例で説明しましょう。あなたが自分のCDをリッピングしてMP3ファイルにし、MobileMeのサーバに送ってiPhoneでダウンロードして使うと違法になります。アップルは自動公衆送信の「主体」としてJASRACに訴えられる可能性があり

    MobileMeもDropboxも違法である
  • 独裁者が追い詰められるという恐怖

    リビアでのカダフィ大佐率いる政府軍とデモ隊の衝突はますます激しくなっているようだ。政府軍やリビア政府に雇われた傭兵は、非武装の市民に容赦なく銃口を向け次々と虐殺している。ネット上では無残に殺されたリビア市民の死体の画像が多数アップロードされている。その中には年端の行かない子供の殺害まで含まれている。これはただ単に独裁者であるカダフィ大佐やその一味の残虐な行為として片付けることができるのだろうか? 筆者はそうは思わない。なぜなら同じような状況になれば、やはり多くの人間がカダフィ大佐のように振舞うと思うからだ。 独裁者の多くがその権力を握る過程で、多くの政敵を処刑する。裏切り者を残虐な方法で殺害して、自らの力を民衆に魅せつける。その一方で独裁者はカリスマ的で人間的にも非常に魅力的な人物であることが多い。その魅力と恐怖によって人の上に立つのである。血塗られた独裁者と英雄は紙一重だ。歴史上の英雄と

  • ダボス会議体験談 (6)

    全身ホッカイロ男 2010年1月27日、ダボス会議2日目。朝7時半過ぎ、会議場のシャトルバス乗り場で待っていると、テレビカメラを肩に担いだ男性クルーとマイクを手にした女性リポーターに声をかけられた。 「寒いですね、早朝のダボスは。」 「そうですね。こうだろうなと思って、日特製のカイロをたくさん持ってきて、背中とお腹、更に両太腿にも貼っています。知ってます?ホッカイロ。」 女性記者は好奇心溢れる目で僕の方を見た。 「え。何それ?!今の話、面白いので、ちょっともう一度カメラの前でしてもらってもいいですか?」 かくして僕は、取材に来ていた欧州の金融の専門番組に、「全身ホッカイロの男」として出演することになった。実際に映像が使われたかどうかは、不明だが。 「商業の歴史」 前の晩のディナーは少人数でディスカッションを行う「商業の歴史(History of Commerce)」を選んだ。5つのテー

    ダボス会議体験談 (6)
    daniel1983
    daniel1983 2011/02/22
    西洋世界が6つの「キラーアプリケーション」を手にしたからです。その6つは、競争、科学、民主主義、医学、コンシューマリズムそして労働倫理
  • 人手不足の上海

    中国の新聞である『東方早報』の報道によると、春節明け(旧正月)の上海の人手不足は、非常に深刻な状態である。飲関連の従業員は、20万人以上の人員が不足しているということである。 理由としては、上海の物価急騰の為に、地方出身者にとって非常に暮らしにくい街になっているということが言える。家賃、費、交通費などの生活に直結するコストが高くなり、地方都市より少し給料が良い程度で上海に出稼ぎに来ても、出費がかさむので、実際には、収入に対してほとんど貯蓄できないという現状がある。 また、80年代、90年代生まれの若者にとって、労働条件が厳しい飲店での勤務は、魅力を感じないということも理由としてあげている。中国は、急激に豊かになってきており、若者は、労働条件が厳しい環境では、働きたがらないことが言える。 インターネットの普及や、携帯電話による情報通信が発展したことで、世の中の情報交換が容易にできるよう

    人手不足の上海
  • 無政府状態に入った政治

    民主党から16人の分派が出て、分党論が公然と語られるなど、民主党の分裂や政権の崩壊は時間の問題になってきました。官僚も政権の足元をみて、電波法改正案は政務三役も知らないうちに各省折衝を通るなど、ほとんど無政府状態になっています。日政治がだめなのは自民党の長期政権が続いたためだといわれてきましたが、政権交代して症状がひどくなったところをみると、根的な問題はもっと根深いと考えざるをえない。 それは最終決定権者の不在という欠陥です。日社会は中間集団の自律性が高いため、もともと国家全体を統合する力が弱い。明治憲法では内閣は「天皇を補弼」する機関とされ、各省庁の合議機関でしかなかった。軍と官僚機構を山県有朋などの「元老」が統率していましたが、その権力の源泉は人事を握っていることでした。これは非公式の権力なので、山県の死後は軍の暴走を止めることができなくなった。 よくいわれるように、現在の状況

    無政府状態に入った政治
    daniel1983
    daniel1983 2011/02/18
    最終決定権者の不在
  • 大学というバブル

    井上さんの記事を少し補足しておきます。「教育に外部効果がある」というのは古い話で、前にも紹介したハーバード大学のPritchettなどの行なった世界銀行の調査では、教育にはマイナスの外部効果があるという結果が出ています。図のように各国を比較すると、教育投資(縦軸)と成長率(横軸)にはまったく相関がありません。教育(特に大学教育)は生産人口を浪費して、成長率を下げている可能性があるのです。 教育が成長率に貢献しないということは、社会的には浪費であることを意味します。読み書きなどの基礎的な教育は重要ですが、労働生産性に貢献するのは中学ぐらいまでの教育で、大学教育は無意味(あるいは社会的にはマイナス)だというのが、多くの経済学の実証研究の結果です。 これは教育投資が無駄だということではありません。それどころか教育投資の私的な収益率は高いのです。日でも大卒の生涯賃金は約2億8000万円で、高卒よ

    大学というバブル
  • 「雇用を増やせ」に関する素朴な疑問

    年末に税制改正大綱を発表するにあたって、菅総理が米倉経団連会長に対して「法人税減税を行うので雇用を増やしてくれ」と依頼をし、これに対して「お約束はできませんが」と苦笑いをされる場面がテレビで何度も放映された。 似た議論で、「企業は内部留保(これはバランスシート上の概念ではなく現預金のことを指しているように思えるが)をため込んでいるんだから、もっと雇用を増やせ」といった主張がなされることもある。 これらを聞くに連れ、疑問に思う。個別企業のキャッシュポジションは、経済全体の雇用量と無関係ではないか。 私の親戚は、高崎の駅前で喫茶店を営んでいる(タンシチューが自慢の「ラ・シーム」という店なので、ぜひ行ってやって欲しい)。伯母がフロアを回り、その夫が厨房に立っている。もしかしたら、アルバイトくらい雇っているかも知れない。しかし、仮に少し税金が少なくなったり、あるいは預金残高が増えたとして、来客が増

    「雇用を増やせ」に関する素朴な疑問
  • モノづくり神話はそろそろ捨てるべきです

    つい最近まで、日には技術力がある、もっとモノづくりの技術を磨いていけば日はやっていけるというマスコミの論調があり、またそう思っている人も多かった思います。 それは過信であり、モノづくりに偏った成長戦略を描くことは、時代に逆行しており、それでは国際競争力を失うだけだと書くと、まるで国賊扱いの批判を受けたこともあります。しかし、今年に入って、技術でリードしていたはずの部品や素材で日の企業のシェアが低下し始める異変が起こってきており、いよいよ日の産業が直面している現実を直視しなければならなくなってきています。 このところ、日が強かったはずの部品や素材でも韓国勢の攻勢にシェアを落としはじめてきています。今日の日経の社説も、リチウム電池も、液晶用の偏光フイルムも、日はシェアを落とし、日勢がほぼ独占してきた半導体用のシリコンウエハーも4~5年以内に韓国勢が首位に躍り出る可能性もあると危機

    モノづくり神話はそろそろ捨てるべきです