月刊『日本歯科評論』では歯科界のオピニオンリーダーに時評をご執筆いただく「HYORON FORUM」というコーナーを設け,コラムを掲載しています. 本記事では6月号に掲載した「予防医療と医療費の関係」を全文公開いたします(編集部)康永秀生/東京大学大学院医学系研究科 臨床疫学・経済学 「予防で医療費を抑制」という誤り はじめに,予防医療は絶対に重要である.予防によって疾病の罹患や進行を抑えたり,早期発見・早期治療につなぐことは,人々の健康増進に必要不可欠である. 一方で,予防医療が総医療費の抑制につながる,と考えるのは誤りである.生活習慣病やがんなどの慢性疾患は,予防対策によって短期的に医療費がいくらか削減されたとしても,生涯にかかる医療費を削減することはできない. 「予防が医療費を削減できない」ことは,2000年代後半までに多くの医療経済研究によって明らかにされてきた. しかし一般には,
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