60 No.53 2020 日本の社会は,少子高齢化,グローバル化などの 激変する社会環境の影響を受け変化している.鉄道 事業も同様に,従来は安全で正確な輸送を行えばよ かったものが,現在は安全性,快適性,利便性など の多種多様で質の高いサービスが求められている. 鉄道経営を支える重要なシステムの一つに自動出改 札 シ ス テ ム(AFC: Automatic Fare Collection system)がある.東日本旅客鉄道株式会社(JR 東 日本)が 2001 年 11 月に導入した IC 乗車券システ ム“Suica”はシステムアーキテクチャに自律分散 技術を使い,トラブルが発生してもシステム全体へ 拡大しない仕組みを開発した.この結果,システム の拡張性と信頼性による継続的な高品質サービスの 提供を実現した.その後,交通機能を超えた新たな サービスの市場展開により,Suica は