アイザック・ウッドがブラック・カントリー・ニュー・ロードを脱退して1年が経った。 正直、僕はまだ彼の才能が恋しいし、もうBCNRが『Ants From Up There』をプレイしないということを本当に残念に思っている。しかしBCNRは止まらない。メイン・ヴォーカルの脱退というバンドにとって致命的なアクシデントを乗り越え、BCNRの絆はより強固なものになっている。『Ants From Up There』は言うまでもなく美しい名盤で、様々なメディアでも2022年のベスト・アルバムの上位に並んだ。しかしウッドの脱退を受け、バンドは全曲新曲でのツアーを決めた。ツアーがはじまるまでの限られた時間で曲を持ち寄り作られたライヴ・セットは一年のツアーを経て研磨され『Live at Bush Hall』へ帰結する。 過去のインタヴューでメンバーがよく口にしていた民主的なバンドの意思決定プロセスが『Live
聞いてくれ! といがらっぽい声でのたもうたのち、作中人物になりかわったジョーディ・グリープは月光のもと愛の甘いささきがながれ、オートバイが柔らかいエンジン音をたて、風土病がはびこり、緑のテーブルに土産物がのった赤い部屋のある歓楽街への上力をみとめ、戦争のなんたるかをのべる――ファースト・シングル“Welcome To Hell”のいささか、というかまいどながらシュルレアリスティックな舞台設定に伏在し、サウンドに共鳴し合うものが前作から1年というみじかいスパンでのリリースとなるブラック・ミディの3作目『Hellfire』の構えをさだめている。“Hellfire=地獄の業火”の表題はそこであたかも禍々しい阿鼻叫喚をくりひろげるようでいて、グリープはおそらく種々のハードコアやエクストリーム・ミュージックがむかいがちなリニアな志向性とは似て非なる多義的な含意をタイトルにこめている。むろん圧力は低く
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