そのような状況を踏まえて、NTTデータにおいて量子コンピュータの活用に向けた研究開発を行なっている稲葉陽子、矢実貴志、立川将、香月諒大の4名が、量子コンピュータの活用面における動向についてお伝えします。 量子コンピュータが注目されている背景 一口に量子コンピュータと言っても、「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」の2種類に大別されます。古くから研究されてきたのは「量子ゲート方式」で、現在一般的に利用されているノイマン型と呼ばれるコンピュータ(以下、古典コンピュータと呼ぶ)で計算できる問題は、理論的には全て「量子ゲート方式」でも計算が可能と言われています。ただし、現時点で実現できている量子ビットの数は最大でも70程度であり、実用化はまだ遠いと考えられます。 一方で、「量子アニーリング方式」と呼ばれる方式は、カナダのD-Wave Systemsが2011年に商用化に成功したことで注目