『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴/グラフィック社) 断捨離やミニマリストといった言葉が定着し、「シンプルさを追求した暮らし」はひとつの生活スタイルとして確立されつつある。そうした中で、最近注目を集めているのが『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴/グラフィック社)という書籍だ。物の捨て方にはじまり、クローゼットやキッチンの整理術など、シンプルライフのハウトゥー本はこれまで山ほど発売されてきたが、「食」については意外にも盲点だったかもしれない。 同書のタイトルが示す「一汁一菜」とは、定義どおり「ご飯・味噌汁・漬物」を基本とした質素な食事のことだ。著者の土井善晴氏はヨーロッパでフランス料理を学んだ料理研究家。フランス料理の華美な世界を知っている著者がなぜあえて「一汁一菜」をすすめるのだろうか。 同書には「一汁一菜とは、だだの『和食献立のすすめ』ではありません。一汁一菜という『システム』で