『羊と鋼の森』(宮下奈都/文藝春秋) やさしい眼差しで人の営みを見つめ、心の機微を丁寧な筆致であぶり出す作家・宮下奈都さん。彼女の作品は多くの書店員に愛されており、サイン会を開けば、遠方からわざわざ足を運ぶ人も少なくないという。そんな宮下さんの代表作ともいえるのが、2015年に発売された『羊と鋼の森』(文藝春秋)だ。 本作は、紀伊國屋書店による〈キノベス! 2016〉第1位、『王様のブランチ』によるブランチブックアワード2015大賞、第154回直木三十五賞の候補作にも選出され、2016年には第13回本屋大賞の大賞を受賞した。見事、作家・宮下奈都の代名詞となったのだ。 発売から3年が経ってもその人気は衰えず、今年に入ってからは、人気若手俳優の山崎賢人主演で実写映画化もされた。日本最大級の書評サイト「読書メーター」には、いまだに読者からの熱いレビューが寄せられており、その勢いは留まることを知ら