『理想を現実にする力(朝日新書)』(佐藤天彦/朝日新聞出版) ここ数年、将棋に視線が集まっている。最近では史上最年少プロ棋士で現役中学生の藤井聡太四段(14歳)が連勝記録を作り、また多大の功績を残しつつお茶目なキャラクターで人気の加藤一二三の引退も大きく報道された。三浦弘行九段の不正疑惑は結局濡れ衣だったが、その問題とも通底する棋士と人工知能の対決からは目が離せない。 とはいえ近年で将棋界をもっとも大きく揺るがしたニュースといえば、第74期名人戦ではないか。数あるタイトルの中でも最高峰と言われる名人位は羽生善治・森内俊之といった「羽生世代」の鉄壁の牙城。あまたのトップ棋士が落とそうと試みるも挑戦権さえ奪えない、難攻不落の要塞だった。しかし、それを攻略した若者が現れたのだ! 佐藤天彦、趣味 はクラシック音楽とファッション(中近世テイストのアン・ドゥムルメステールを愛用)。ニックネーム「貴族」