ドストエフスキーから星野源まで、古今東西の文豪たち100人(「迷惑メール」などの、名も無き書き手含む)の文体を模倣しながら、ひたすらにカップ焼きそばの作り方を書き連ねた『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(略称・もしそば、神田桂一・菊池良共著/宝島社)。昨年6月の発売以来、第2弾とあわせて計15万部のヒットとなっている。 ふたりの著者のもとには、発売から1年経とうとする今も、文体模写を絡めた原稿依頼が引きも切らない。今春には、『もし文豪たちが現代の文房具を試しに使ってみたら』(ごま書房新社)という文房具パロディーの類似本まで登場した。 にわかに盛り上がりをみせる文体模写だが、珍企画のヒットの過程には編集者とライターとタフなやり取りがあったという。そんな“文体模写カルチャー”誕生秘話について、広告界を代表するクリエイティブディレクターであり、雑誌『ケトル』の編集長の嶋浩一郎さん
『MONKEY vol.12』(柴田元幸:編/Switch Publishing) 翻訳家・柴田元幸が責任編集を務める文芸誌『MONKEY vol.12』(柴田元幸:編/Switch Publishing)は本号で12号目。「翻訳は嫌い?」と題した特集を中心に、村上春樹・川上弘美など小説家だけでなく、歌手の小沢健二、分子生物学者の福岡伸一など多様なエッセイ・対談が掲載されている、知的好奇心をくすぐる一冊です。 「海外文学」という単語を聞くと拒否反応が出てしまう方もいるかもしれません。私自身も、ロシア小説の名作を手にとってみたものの、登場人物の名前が覚えにくかったり、長かったりして物語以前のポイントで挫折してしまったことがあります。そうした時は図書館に返却する前、本に申し訳なくて謝罪の代わりにページをパラパラと何度か通しでめくってから返却したものです(本がありがたがっているかどうかは定かでは
「オールド村上主義者」が『騎士団長殺し』を読むきっかけになってほしい、というスタンスでお送りしている「村上春樹作品に共通することに関するあてどもない考察」。過去の作品との類似点についてご紹介する第3部では〈遷ろう謎の場所と通路編〉と題し、形を変えて幾度も出現する、この世ならざる場所や通路についてあれこれ考察してみたい。 ■穴、部屋、フロア、地底、非常階段、井戸……形を変えて現れる、謎の場所と通路 〈第1部 顕れる女子学生編〉で『騎士団長殺し』のあらすじをご紹介した際、「誰かがいなくなって、少々変わった登場人物が出てきて、否応なしに巻き込まれ、妙な場所へ行ったり、不思議体験をしたり、何かと戦ったりして、最後は日常へ戻る」という村上作品のある種のパターンが今回も繰り返されていると書いた。この要素の中で、村上が他の作家と大きく違っているのが「妙な場所へ行ったり、不思議体験をしたり、何かと戦ったり
2017年2月、分冊となると2009~10年に出版された『1Q84』以来となる長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)を上梓した村上春樹。本作はこれまでに多くの書評やあらすじ、謎解きなどが行われてきた。 そこでここでは趣向を変え、村上作品に繰り返し現れるものやアイテム、登場人物など通底するテーマ(あるいは変奏曲や通奏低音のようなもの)について考察を試みた。「昔は読んでいたけれど、ブームになってしまったので最近は読んでいない」という“春樹デタッチメント”な状態の「オールド村上主義者」の方が、往年の作品のような展開を見せる『騎士団長殺し』を読むきっかけになれば、というスタンスでお送りしたい。 その前に『騎士団長殺し』のあらすじを簡単にご紹介しよう。 主人公は36歳で肖像画家を職業とする「私」だ。妻から別れを切り出され、東京から新潟~山形~秋田~青森~北海道~青森~岩手~宮城とひとりあてどもなく車で旅
『みみずくは黄昏に飛びたつ』(川上未映子、村上春樹/新潮社) 本書『みみずくは黄昏に飛びたつ』(川上未映子、村上春樹/新潮社)をご紹介する前に申し上げておきたいのは、村上春樹さんの最新長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)を未読の方、特に読むのを楽しみにしている方はそちらを先にどうぞ、ということです。『みみずくは黄昏に飛びたつ』では『騎士団長殺し』の内容が作者本人から語られ、作家の川上未映子さんが様々な読み解き方を紹介しているので、そうした方がどちらもより楽しめることと思います とはいってもこの本は壮絶にネタバレをしているわけではなく、『騎士団長殺し』を読んだ人でないとわからない、という不思議な構成になっています。また『騎士団長殺し』以外に、作家村上春樹についても大いに語られているので、村上春樹が好きな方(“ハルキスト”ではなく“村上主義者”※の方)はもうぜひとも、何を置いてもお読みいただきた
『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』(村上春樹/中央公論新社) 村上春樹はハードワーカーである。2017年2月の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)以来4年ぶりとなる長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)を発表すると、3月にはこれまで手がけてきた翻訳について語る『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』(中央公論新社)を、4月には作家の川上未映子との対談集『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮社)と立て続けに出版、さらに5月には翻訳を担当したジョン・ニコルズの『卵を産めない郭公』(新潮社)も出た。 村上のハードワーカーっぷりを際立たせているのが、圧倒的なまでの翻訳の仕事量だ。本人も『村上春樹翻訳ほとんど全仕事』のまえがきで、改めてその量に感慨を抱いている。 それにしても、この本をつくるために、これまでに翻訳した英文テキスト(全部は残されていないけれど)と訳書を一ヵ所にまとめて積み上げてみて、その
2月24日、村上春樹氏による7年ぶりの長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)が発売され、ファンは歓喜に沸いた。だがその7年の間、なにも村上氏は休息をとっていたわけではない。翻訳家としての活躍は続けており、この3月には36年間の実績をまとめた『村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事』(新潮社)も発売された。 そこで今回は、代官山 蔦屋書店でコンシェルジュを務める、元祖カリスマ書店員で書評家の間室道子さんに、今回は、翻訳家・村上春樹のおすすめ作品を5つ選んでもらった。 村上春樹さん翻訳 オススメタイトルベスト5 1.『ティファニーで朝食を』(トルーマン・カポーティ/新潮文庫) 「純朴な青年が謎の美女に振り回される」は村上作品の永遠のテーマの一つだけど、本作は、翻訳ものは読まないという村上ファンにNYを東京に、ホリーを堀井に変えたりして、「これが村上春樹の最新作」と言ったら信じそうなくらい、村上さん好みの
4月27日、新宿サザンシアターにて村上春樹さん13年ぶりとなるトークイベントが開催された。長編新作『騎士団長殺し』の発売から約2ケ月が経ち、村上さんはどんな面持ちで何を語るのか。460人の定員に対し応募倍率15倍という競争率の中、幸運にもチケットを手にした春樹ファンたちが会場に集まった。 19時、いよいよ村上さんの登場だ。洒落たピンクのパンツにTシャツ、その上にシャツを羽織ったラフなスタイルでその姿を現した。会場は待っていましたと言わんばかりの拍手と高揚した空気に包まれた。 「こんばんは、村上春樹です。龍じゃないほうの村上です」 という村上さんの第一声から、温かな雰囲気の中、トークイベントは始まった。 “世界の春樹”ともなると、講演の依頼も多い。だが、「文章を書くことを生業にしているので人前には出ない」というスタンスを貫く村上さんは、「最近は人間が丸くなったのか、たまにはこういうことをする
7年ぶりとなる村上春樹の長編小説、『騎士団長殺し』(新潮社)が2月24日(金)に発売されました。村上春樹の長編といえば、発売前から関連イベントが開催されるなど、ちょっとしたお祭り騒ぎになることでも知られていますよね。特に盛り上がりを見せるのが、発売日当日。発売日0時のカウントダウンやトークショーなど、イベントを行う書店も多いのです。そこで筆者も、発売日の興奮を体感すべく、0時ジャストに行われる『騎士団長殺し』の発売会に行ってみました! 向かったのは、三省堂書店神保町本店。0時15分前に店舗の前に到着すると…なんと、店舗正面にあった「三省堂書店」と書かれていたはずの看板が「村上春樹堂」になっているではありませんか! メインのロゴまでまるっと変えちゃうあたり、書店もかなりの気合いが入っているのが分かります。 店内に入ってみると、数人のお客さんたちに加えテレビ局の撮影スタッフの姿もちらほら。カウ
トップニュースその数60冊以上! 村上春樹翻訳本、海外文学おすすめ4作品は?『最後の瞬間のすごく大きな変化』は女性にこそ読んでほしい! 村上春樹の長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)が2月24日に発売決定! 『1Q84』以来7年ぶりの長編とだけあって、Amazonでは予約注文の時点ですでにランキング入りを果たすという人気ぶりです。発売まで待ちきれず、これまでの作品を読み返している人も多いのではないでしょうか? 長編・短編・エッセイ、どれも村上作品ならではの良さがありますが、あえて読んでいただきたいのが村上春樹が翻訳した海外の小説たち。「もはや村上作品じゃなくないか?」とツッコミを入れられそうですが、騙されたつもりで読んでみてください! 訳文とはいえ、ガッツリ村上調で描かれている作品も多いですし、原著そのものの良さも味わえるし、一石二鳥で楽しむことができます。そこで、村上春樹の訳した海外文学の
2017年2月24日に村上春樹の新作が新潮社から出版されることになった。今のところ明らかになっているのは、400字詰め原稿用紙で2000枚の書き下ろし作品で、全2冊で出版されるということ。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)から約4年ぶりの長編ということもあり、心待ちにしている村上ファンも多いのではないだろうか。村上春樹の長編小説といえばベストセラーの常連だが、意外にも短編は知られていないことが多い。だが、村上春樹の小説の真髄は長編だけでなく短編にあるという。 『短篇で読み解く村上春樹』(「村上春樹を読み解く会」代表 齋藤隆一:著、神山睦美:監修/マガジンランド)には、村上短編と長編の密接な関係が紹介されている。 同書によると、短編には、長編の習作的な役割を果たしているものが複数存在するという。例えば、短編集『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮社/1984年)に収録さ
翻訳家・柴田元幸責任編集による文芸誌『MONKEY』Vol.11が、2017年2月15日(水)に発売される。 同号には、2月24日(金)に7年ぶりとなる本格長編小説『騎士団長殺し』の発売を控える村上春樹が、2016年10月にアンデルセン文学賞授賞式で行ったスピーチ「影の持つ意味」を英語訳とともに全文掲載。スピーチで紹介されたハンス・クリスチャン・アンデルセンの短篇『影』も掲載される。 また特集では、「ともだちがいない!」と題し、ともだちがいなかったり見つかったり失われたりする話を掲載。谷川俊太郎による書き下ろしの詩10編を、谷川が幼い頃に描いた絵とともに掲載するほか、チャールズ・ブコウスキーの未訳短篇小説『アダルトブックストア店員の一日』と詩2編を、柴田の訳し下ろしで本邦初掲載する。 そして、『コンビニ人間』の大ヒットで一躍時の人となった芥川賞作家・村田沙耶香と伊藤比呂美のインタビューを柴
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