<ジッパー(ファスナー)業界にはかつてタロンという支配的な企業があった。なぜ日本の1企業がタロンの本拠である米市場をも制することができたのか。中国からSBSというライバルが台頭しつつある中、ジッパー業界はどうなるのか> スライダーを引っ張り、2列の小さな歯をかみ合わせると、バッグやジャケット、パンツがしっかり閉じる。これがジッパーだ(編注:ファスナー、チャックとも。日本ではファスナーが最も一般的)。この便利な日用品は、1世紀以上前にアメリカで発明され、今や全世界に広まっている。世界のあちこちで生産され、あらゆるものに縫い付け、あるいはのり付けされ、あらゆる場所で使用されている。 どこにでもある控えめな存在に見えるかもしれないが、ジッパーの現状は、喩えるならば、日本のパスポートに中国のビザがいくつもスタンプされているような状況だ。この奇妙な喩えの意味について、ジッパーの歴史や国際貿易理論、そ
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