久々の書評です。「クラブDJからiPodユーザーまで~DJプレイやミックスCDの質を向上させる世界初の選曲ガイドブック」と銘打たれた、2005年11月に出版されたこの本は、結構売れたみたいだけれども、本著での、沖野さん(Kyoto Jazz Massiveというグループ、あるいは渋谷にあるThe Roomというクラブを主宰していることで有名)の姿勢は、見事なまでに一貫しています。 端折って言えば、沖野さんがショボいと感じるDJが跋扈している現状に、怒りをおぼえ、その状況を打破するために、「優れたDJ」を選別する基準を作ろうとした。「優れたDJ」を見分けるなんらかの基準を作るには、知的な態度を取り、選曲に対する客観的な分析を行わざるを得ない。これまで体系的な理論などまったく存在しなかった、選曲という分野を、手探りで考えてみよう…ということです。この本の一番の醍醐味は、ある学問分野が誕生するそ