今年、鳩山由紀夫氏が日本の次期首相の座を目指して動き出した時、選挙アドバイザーたちに電話をかけ、党のキャッチフレーズの1つを破棄するよう頼んだ。あまりに事を単純化しているというのがその理由だった。 問題のスローガンは「生活第一」。平たく言えば「あなた方の日々の暮らしが何より大事」という内容だ。アドバイザーたちは鳩山氏に思いとどまるよう懇願した。 鳩山氏に助言する広告代理店、博報堂の藤原まり子氏は、そのフレーズは、日本の有権者を苦しめる2つの大きな懸念に訴えかけるものだったと言う。自分自身の生活水準に対する不安、そして、これまで彼らが「根源的に日本的なもの」と考えていた様々な事柄が崩れつつあるという感覚である。 そうした中で、鳩山氏率いる民主党が国民の痛みを理解しているということを有権者に訴え続けることは極めて重要だった。鳩山氏は結局それを受け入れた。 スローガンは政治の世界では掃い