今から40年くらい前、私は仕事で硫黄島に出張したことがある。硫黄島と本土を衛星通信で結ぶためだ。滞在中、ちょうど島に来ていた遺骨収集団の一人が、夜中に突然訪ねてきた。 (左)米軍が星条旗を立てた摺鉢山 (右)摺鉢山から望む硫黄島の南海岸。遠くに見える白い建物の辺りが基地・滑走路だ。 (硫黄島に出張した1985年2月に撮影) その方は硫黄島東海岸で意識を失って捕虜となった元日本兵で、目が覚めたらハワイのベッドの上だったそうだ。硫黄島の生き残りは米兵にかなり恐れられていて、農作業中にふと立ち上がった捕虜が、びっくりした米兵に機関銃で撃たれて亡くなったこともあったという。 彼は遺骨収集団の一人として来島したのだが、「今日も一柱見つかった。何で自分は生き残ったんだ・・」と、涙を流しながら話す姿に、言葉を失った。 今回ご紹介したい本は、そんな硫黄島で捕虜となり、アメリカ本土まで連れていかれた元日本兵