高知市周辺を走る土佐電気鉄道(高知市)の路面電車。電車同士がすれ違う際、行き先の駅名に由来した、つつましやかな“会話”を交わし、ひそかに鉄道ファンの熱い視線を集めている。 通称・土電の東の終着駅は、南国市の「後免町」。同市によると、江戸時代に土佐藩の重臣野中兼山が大規模な土地開発を行って商業地域を作り、入植者に租税などを免除したのが地名の由来だ。西端には、いの町の「伊野」駅がある。 約20キロある両駅間のあちこちで「ごめん」「いの」と平仮名で行き先を掲げた電車同士が顔を合わせる。「謝って許す電車」として鉄道ファンが注目し、県外から写真を撮りに来る人も。利用者減に悩む土佐電鉄は「地元では当たり前の光景が、実は町の魅力なのかもしれない」と歓迎している。