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ブックマーク / totodaisuke.weblogs.jp (44)

  • 書評「ウェブ時代 5つの定理」

    を読むときは常に、"so what does it mean for me?" と考えるようにしている。今でいえば、「新しい生命保険会社の立ち上げ中」という極めて限定された文脈の中で、そのからどのようなメッセージを感じ取り、自分にどのようなアクションを促すかを考えるようにしている。 最近になっては特に、なかなか純粋に知的な読書をする精神的余裕がないこともあるが、自分の世界観の変化や具体的なアクションに繋がるような示唆に富むとの出会いを、大切にするようになった。 梅田望夫氏の新著「ウェブ時代 5つの定理」は、「これまでの僕のの中で、君がきっと一番気にいると思うよ」というコメントとともに、最終に近い草稿を著者から受け取る幸運に恵まれた。早速読み進めると、書は著者の予告通り、今の自分のこころの琴線に触れる、インスピレーショナルな言葉が散りばめられていた。 新しい生命保険の設立という、自

  • 生命保険 立ち上げ日誌: ネットで生命保険が売れる(かも知れない)理由

    1.  生命保険に関する認知・関心が高まっており、加入・見直しの必要性を感じている人は少なくない 【私見】 ユビキタスな営業員の存在、頻繁なテレビCMや雑誌の特集、そして不払いや銀行窓販による一連の報道。日常の生活の中でも、生命保険のことを考える機会が増えている。結婚した人、子供ができた人、家計が苦しくなっている人、子供が独立した人。生保を最適化したい、と考える能動的にニーズは強く存在するのでは? 2.  丁寧に説明してあげなくてもわかるような、簡単な商品を作って売ればいい 【私見】 保険は来シンプルなもの(「亡くなったら●円払います。以上。」)。ネットで売れるように、極限までシンプルな商品を作ればよいのでは? 3.  加入パターンを類型化したり、各種シミュレーションツールを準備したりすることで、個々人が自由に商品を組み立てることができる 【私見】 ネットの特徴は、カスタマイズ性。工夫す

  • ネットで生命保険が売れない理由

    1.  生命保険は「売る」ものであって、「買う」ものではない 【通説】 誰しも、死ぬことは考えたくないので、自ら生命保険への加入を積極的に考えることはしない。生命保険は、購入してすぐに体験して効用を楽しめる商品ではないし、「今すぐ買わないといけない」という切迫感もない。したがって、営業マンがその機能や必要性を説き、ニーズを掘り起こす必要がある。自ら生保を買いたいと思っているお客さまは、病気である可能性が高いため、保険会社の契約選択上は「よい顧客」でない可能性が高い。 2. 生命保険は難しいので、対面で丁寧に説明してあげないといけない 【通説】 自分で生命保険について情報を集めたいと思う人は多いが、多くの人が少し調べてみて「やっぱりわからないや」とあきらめてしまい、そこで検討がストップしてしまう。営業マンが横について、丁寧に説明をしてあげる必要がある。ネットではこれが難しい。 3.  一人一

  • 内なる声に耳を傾けよ

    先日の金曜日、慶應の三田祭で行った講演会がなかなか好評でした! これまでは大枠のみ決めてアドリブで話すことが多かったのだが、先日読んだ友人で「超一流の講演者は1時間前に会場入りし、入念に準備をする」ということを知り、刺激を受け、今回はかなり時間をかけて準備したことがよかったようだ。 内容については、phoさんが、はてなブログで丁寧に紹介してくれています(大感謝!): 講演メモ その1 講演メモ その2 講演メモ その3 準備をする際に考えたのは、「自分にはまだ、多くの人を感動させるような体験も、信念もない。ならば、ひとを感動させた名スピーチにあやかろうではないか」、ということ。そこで、Apple の Steve Jobs が2005年にスタンフォード大の卒業式で話した名スピーチを思い出し、内容を何度も読み直し、それを軸に話をした。 このスピーチは、Jobsが最後に引用した"Stay H

  • 【読書感想文】 ウェブ時代をゆく(梅田望夫氏)

    書はベストセラーとなった「ウェブ進化論」と同様、ウェブが切り拓く未来への期待とオプティミズムに満ちている。読者はまるで見晴らしのいい展望台から、新たな大陸を見渡す機会をはじめて与えられたような、すがすがしい読後感を覚える。 しかし、私が書を読み終えて感じたのは、このようなすがすがしさだけではなかった。むしろ、大きな後悔と、焦りの気持にかられた。再び書を開き、気になったページに折り目をつけながら、何度も何度も、書を読み返さずにはいられなかった。 それは、「もうひとつの地球」と著者が呼ぶ新しいウェブ世界のスケールの大きさに圧倒されつつも、その表層しか理解していなかったことと、それゆえ同時代を生きる我々に等しく与えられた機会を十分に活かさずに、怠惰に毎日を過ごしてしまっていることへの後悔。そして、このままでは、梅田氏が提示するようなあたらしい生き方を実践することなく、何十年か何百年に一度

  • 市場と法

    まだ読み終わっていないのだが、発売されたばかりの日経新聞編集委員の三宅伸吾氏の新著、「市場と法-今何が起きているのか」(日経BP社)が面白く、通勤の電車の中でむさぼるように読んでいる。 まず、カバーしている範囲が極めて広い。最初はライブドア事件、村上ファンド事件が中心なのかな、と想定していたのだが、それは第一章「市場への背信」の一部であり、この章では日興コーディアル粉飾事件もかなりの詳しさで論じられている。続く第二章の「検証・刑事司法」ではいわゆる国策捜査を中心に、検察など捜査当局の取調べの問題点を鋭く批判している。第三章の「敵対的企業買収」ではニッポン放送事件、ブルドック事件などにおける論点を改めて整理している。 さすがにここで終わるのかなと思いきや、三宅氏の筆は止まらない。第四章「ルールを創る」では公取の競争政策や住友信託とUFJの「統合破談」の事例について論じ、第五章「弁護士と法律事

    市場と法
    dh_SPQR
    dh_SPQR 2007/10/31
  • 東京ディール協奏曲

    dh_SPQR
    dh_SPQR 2007/09/15
  • 生命保険は悲惨なギャンブルではない

    山口揚平さんとは時折お話したり飲みに行ったりする間柄なのだが、彼の文章が多くの人の心をつかむのは、三つの理由があるように思える: ① メッセージは極めてシンプルだが質的で核心をついている ② それを、直感的に理解できる、身の回りのシンプルな事例に例えるのが天才的に上手い ③ ファイナンス・金融という来は「冷たい」「無味乾燥」なものに、パッションと人間愛のようなものを思い入れを持っている このたび、彼が書いた「生命保険は悲惨なギャンブル~ヤクザのばくち場は一番公平?」というエッセーが、ウェブ上で話題になっている(書かれた直後に、ブログのコメント欄にもご人から紹介の書き込みがありました)。それは、皆が何となく感じていた胡散臭さを、「賭博場」や「宝くじ」という誰しも理解できるアナロジーを用いて、スパッと切っているからである。 彼の文章の魅力がこのような直感・質×表現力にあるとするならば

  • 三角合併解禁に反対。

    暖かくなったと思ったら、急に冷え込んだりと、不安定な天候が続いていましたが、今日からようやく春らしくなっていくのだろうか。朝、駅までの自転車通勤が心地よくなってきた。 そんな金曜の午後に相応しい話題かは自信がないものの、今日は「三角合併解禁に反対」とあえて主張してみたい。大まかに言うと、議論の対立構図は ・ 「経済・金融通の人は、企業経営者に規律を迫る効果に着目して解禁に賛成」 ・ 「怠慢で保身に走る企業経営者・経団連は解禁に抵抗 というような印象を受けている。僕は(まだ)保身に走る企業経営者にはなれていないのだが、ここではあえて解禁に反対してみたい。 理由は、以下のような保護主義的観点から: これまで時価総額を高める経営をしてきて来なかった日企業は、結果的に米国の類似企業と相対的に時価総額が低い。これをキャッチアップして、米国水準に合わせて行くには時間がかかる。 にも関わらず、すぐに株

  • 本当のおカネ・リテラシー

    梅田さんのブログで紹介されていた、「お金のリテラシー」に関するエントリーを読んで、例えば自分の子どもたちに教えたい、当のファイナンシャル・リテラシーとは何か、考えてみた。 上のエントリーでは「資を提供したら増えて帰ってくる」、「資を借りたら幾ばくかの金利を払わなければならない」なる資主義の基原則が述べられている。 しかし、金融業界に身をおくものとして、僕は「お金のリテラシー」の質は資コストでも割引現在価値でもポートフォリオ理論でもなく、もっともっとシンプルなものであると思う。以下、考えた「5つのルール」: ルール#1:お金については、管理や理解に時間と労力を使うかどうかによって、最終的に手元に残るお金は大きくかわる。だから、さぼらずにまずは努力をしてみよう。 お金と向かい合うのは何かと面倒だから、できたら考えたくもない。でもその結果、不要なものにお金を払い続けたり、世の中にも

  • なぜ株式投資はもうからないのか

    月曜日の夜はRTCカンファレンスにスピーカーとして参加する。今回は保田君の新著、『なぜ株式投資はもうからないか』の出版記念イベントも兼ねているとのことなので、予習として彼の問題意識を知っておくべく、同書を手に取った。 まず、個人投資家が中長期的に安定的な投資を行っていく上で、知っておくべき知識、あるいは「ゲームのルール」を知らないまま、ほとんど博打状態でマーケットに参加していることへの懸念は、共感する。それに対して警鐘を鳴らすことが書の一番の狙いであるように思った(タイトルがそれを表している)。 昨年の夏に帰国後、株をやっている友人に「ヘッジファンドで色々と面白い運用方法を見てきたので、教えてあげようか」と話したところ、「年率10~15%でまわすなんてことには興味ない。短期で数倍を狙えないと面白くない」と言われて、ああそうか、そういえば麻雀・パチスロが大好きなばくち打ちだった彼にとっては

  • つっこまびりてぃ

    空が晴れ渡り、さわやかな月曜日。日経ビジネスオンラインに第五回目の連載記事、「『究極のインサイダー取引』を阻止せよ」が掲載された。 経営陣主導の非公開化(MBO)において経営陣は「株主のためにできるだけ高く売るべき」と「できるだけ安く買いたい」という利益相反の問題に直面する。それは、「第三者による株価算定の意見書を取りました」という生ぬるいもので到底解決できるものではない。このような意見書はあくまでも経営陣が提出する事業計画をベースに算定されているし、そもそもにおいて価値評価は(一度でも計算したことがある人なら分かると思うが)前提条件の置き方次第でいかようにも変わるのであるから。 とすれば、既存株主の利益を守るためには、価格について徹底したディスクロージャーと、取締役がデュー・プロセスを経て意思決定をしたか否かについて株主代表訴訟のリスクを負わせること、ひいては「他の買主がいくらでビッドし

  • 賢者からの手紙

    世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの名は聞いたことがある人が多いと思うが、彼の投資活動の母体となっているのが Berkshire Hathaway という保険会社であることは、わが国では意外と知られていない。 HBSの仲間に、「新しい保険会社を作るんだぁ」と話すと、皆が「あぁ、お前は日のバフェットを目指すんだね」と言われる。それはそれで、悪い気がしなかったりする(笑)。 バークシャーの実績を見ると、なぜバフェットが伝説的な投資家として、米国であがめられているかが分かる: 保有する有価証券の一株当たり時価 ・ 1965年: $4 ・ 2005年: $74,129 (年率28%) しかし、彼が尊敬されるのはこのような投資実績に加えて、保有している同社の株を売却せずにネブラスカの片田舎で質素な生活を続けていること、そして世の中を見渡す鋭い視点と、ユーモア溢れる人間味溢れるキャラクターで

  • ワタシの競争戦略

    今朝は8時からオフィスの近所のカフェでMBA友達と進路相談的朝会。いま流行のヘッジファンドの業務内容について知りたいとのことで、焼きたてパンと煎れたてコーヒーを飲みながら、知っている範囲のことをお話する。 ひと通り説明したあとに、彼に言った。ファンドもいいけど、もっと君の事業会社での業界経験と米国西海岸MBAで得た知見・人脈などを活かした、「自分ならではのキャリア」っていうのを見つけられたら楽しいのになぁ、と。 以前、コンサル会社のヘルスケア担当のパートナーに聞いた話。マネージャーの頃、彼のファームではヘルスケア業界に特化しているコンサルタントはほとんどいなかったため、早い段階からずっとヘルスケア一筋でやっている彼はいつの間にかグローバルでもかなりの権威になってしまった。 そこで彼が言う。多くの若手コンサルタントが、華やかで楽しそうな消費財や金融などのコンサルティングをやりたがる。しかし

  • 当局はヘッジファンドに干渉するな

    日経ビジネスオンラインの連載、最新記事が掲載されました: 「投資ファンドは眠らない」 第四回記事 ヘッジファンドに干渉するな 超一流誌である Foreign Affairs の最新号に "Hands Off Hedge Funds" として、ヘッジファンドへの必要以上の懸念と規制をけん制する論文が掲載されていたことに刺激され、以下の点について論じました: 昨年話題になったヘッジファンド関連の事件 SEC登録義務を向こうとした連邦控訴裁判決、そして 論文で主張されている「ヘッジファンドはマクロなリスクを増幅させるのではなく吸収させる存在だ」という側面 結局、どんな規制が望ましいのか? 字数の関係で削ったのですが、論文の中でもう一つ、「なるほどな」と思ったのは以下の主張: 例えば、政府がシリコンバレーに対して規制強化するならば、テクノロジー分野におけるイノベーションの芽を摘むようなことになると

  • 外へ出よ

    何度か告知していましたが、土曜日はRTCカンファレンスなる大・勉強会にスピーカーとして参加。これがとても刺激的だったので、以下ご報告(より詳細のレポートは、主催者の一人である上原さんのブログをご参照) 会場はコンサルタント時代にクライアントでもあった、BMGファンハウスの旧自社ビル@恵比寿。来たことあるよ、ここ。会場となった地下のauditoriumは、180名は入る階段状のホール。壇上にはスピーカー用の机と椅子 が ある訳でもなく、マイクを持って立って歩き回りながら喋る。気分はアップル説明会のときのSteve Jobs。 テーマは、「2006年を振り返る~モバイル・インターネット・金融・経済」というもの。前半のゲストは、DeNaの立役者の一人で、最近ではモバゲータウンなるサービスを9ヶ月で200万人まで持っていった守安さんと、元ライブドア副社長の伊地知さん。両名とも、先月の宮崎カンファレ

  • 青臭くてもいいじゃないか

    東大法学部のゼミは「研究室」という感じではなく、1年毎に変わる選択科目の一つのような位置づけだったので、在学中は(あまり真面目に出席していなかったこともあって)先生方とそれほど親しくならなかった。 そんなこともあって、僕にとって大学時代の恩師と呼べる人は、東大にはいない。当に多くのことを学び、影響を受け、今でも親しく付き合いがあるのは学外の二人。3年次のゼミにゲスト的に教えに来ていた米国人弁護士のRichard Hyland先生と、1年の秋から司法試験の勉強を通じて、法律の全てを教わったと言ってもいい、伊藤真先生だ。 伊藤先生は司法試験受験生のあいだではカリスマ的存在であり、僕も(精神的につらい)司法試験受験生の頃は当にカミサマのように見えて慕っていたのだが、彼の当の凄さは狭義の司法試験準備のための講義ではなく(これも超人的に凄いのだが)、論の合間に出てくる様々な小話を通じて伝わっ

    dh_SPQR
    dh_SPQR 2006/12/14
  • レバレッジ

    周りの人の力を上手く借りて、自分の実力以上の成果を出すことを、英語で leverage (other people's strengths) という。 BCG時代に学んだもっとも大切な力が、この leverage である。当時は新しいプロジェクトがスタートすると、すぐに全社員宛にメイルを出し、当該トピックに詳しい人や、詳しい人を紹介してもらえる人を探した。どちらかというとお節介な人が集まっていた会社だったので、即座に何人もの人から返事が来て、それによってプロジェクトの立ち上げがぐっと加速化する。 また、コンサルタントは考えることが仕事だったから一人で机や会議室でウンウン唸って考えていることが多いのだが、これも「30分以上考えて行き詰まったらすぐに誰かをつかまえて議論をふっかけろ」という定石があった。誰でもかまわない、オフィスを歩いていてちょっと余裕がありそうな人を見つける。部屋に入っていっ

  • 正しい選び方

    週刊ダイヤモンドの12月9日号、「医療保険に気をつけろ!」は、医療保険の上手な選び方について、中立の立場から非常に詳しく分析した特集を掲載している。保険は誰もがいつかは加入を考えるものである以上、特集は買っておいて棚においておくことをお薦めしたい。 皆さんが知っておくべき大きなポイントは、以下の通り: 1. 我々は皆、公的な医療保険に加入しており、相当な保険料を払っている。この健康保険制度は非常によくできており(特に上限をcapする「高額療養費制度」)、入院したときに我々が自己負担する費用というのは、思ったほど高くない。(特集の冒頭であげられている例では、「胃ガンで入院して150万くらいかかると聞いていたが、20万円ですんだ」とのこと。) 民間の医療保険はあくまでも、このような強力な公的保障を補うもの、と理解すべき。保険会社の宣伝広告に、不安をあおられて過剰な保障を買ってはいけない。

    正しい選び方
  • Going Private 再考

    久々に、「業界系」のブログに目を通していたら、ニューヨーク時代のお友達の47thセンセイとHarryがバイアウト関連の話題で盛り上がっている。ここのところは、すっかり「隠居」の身で、かようなエキサイティングな話題は静観することにしていたのだが、来月から某大手ビジネス系雑誌のオンライン版で連載を始めることになったので、リハビリもかねて、参戦することに。 自分なりに関心をもった論点は二つ: ・ なぜ、従来は避けられてきたハイテク系企業のバイアウトが増えてきたか? ・ 経営者にとって、非上場化によって株主からの経営モニタリングはどのように変わるか? (なお、これまでの議論については、ウォールストリート日記をご参照)。 最初のポイントの答えはいたって簡単で、「カネ余りの過剰流動性」がすべての要因と考える。すなわち、 ① 収益のボラティリティが高い事業をスピンオフする売り手側のニーズは、以前から存在