接戦を制して、デビュー18戦目で世界最速となる3階級制覇を成し遂げた井岡一翔(右)。叔父の弘樹氏が4度挑んでかなわなかった井岡家の悲願を果たした。 サラブレッドと言われ続けた男の目に涙が光った――。4月22日の大阪府立体育会館。WBA世界フライ級王者フアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に挑んだ井岡一翔(井岡)は、8度防衛中のチャンピオンとクロスゲームを演じ、2-0のマジョリティ・デシジョンで判定勝ち。苦労して手にした3階級制覇という栄冠だった。 1ラウンド終了のゴングが鳴ったとき、青コーナーに戻る井岡が右拳で小さくガッツポーズを作った。この瞬間、リングサイドの筆者は「今日は勝てそうだな」と感じた。井岡の生命線であるジャブがヒットし、それはすなわち、井岡にとって理想的な距離、157cmと小柄なチャンピオンにとってはわずかにパンチが届かないという絶妙な距離をキープできていることを示していた