本作『エクスペンダブルズ』の封切りを、一日千秋の思いで待っていた人たちだけのためにこの感想を書く。 我々が、『エクスペンダブルズ』に期待していたものの正体とはいったい何だったのだろうか。大多数の人間が筋肉を期待し、爆破を期待し、豪快な人殺しを期待していたというのは想像に難くない。事実、筋肉アクションや、轟音と瓦解と爆破、顔面ブッ飛ばしに人体貫通といった切株描写まで『エクスペンダブルズ』には盛り込まれていた。80年代の筋肉アクションの王政復古を願う最右翼たるスライの企みは、見事に成功していたわけだ。 スタローンはシュワルツェネッガーとの会談で、自分たちは本物の筋肉アクションを見せられる最後のマッチョ・スターだと笑いながら語り合ったという。63歳にしてなおタフさを失わず、グラン・ギニョールとしての戦場映画に傾倒している様はその自信の裏付けであり、映画に於ける筋肉至上主義の証左でもある。