これまで農林水産省は有機農業の推進にさほど力を入れてこなかった。それなのにいまや有機農業を2050年に農地面積の25%に拡大すると喧伝している。農水省が方針転換せざるを得なくなった理由の一つに、畜産の環境問題があると感じる。 有機農業と畜産業の意外な関係性 「ゴゴォー」 日の出前の暗闇をふるわせて、ある集落に市道を走る4トントラックの轟音が伝わってくる。「また来たか」。住民は寝床で夢を破られたことに苛立ちながらこう思う。 夜明け前から日中、夕方まで、多い日にはトラックが10往復近くし、辺りは「まるで建設現場」のような喧騒に包まれる。建設現場と違うのは、トラックの荷台に積まれているのが畜産施設から出る排せつ物であり、向かう先が農地だということだ。 堆肥の置き場になっている農地にはパワーショベルが置かれ、堆肥が数メートルの高さまで積みあがっていた。「家畜排せつ物処理法」で禁じる野積みに当たる可
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