日本最大級の大学スポーツ紙である「早稲田スポーツ新聞」、通称「早スポ」。年に12回刊行され、箱根駅伝や大学ラグビーなど人気競技を扱う号は1万部以上を発行する“一大メディア”である。 早スポを発行するサークル「早稲田スポーツ新聞会」は1959年の発足以来60年以上の歴史を持つが、初代から61代目まで編集長はすべて男性が務めていた。 その伝統が更新されたのは、2021年8月のこと。サークル内の選挙で人間科学部の高橋さくらさんが最多得票を集め、女性として初めて編集長に就任したのだ。 いわゆる大手の「スポーツ新聞」で、トップどころかその下のデスクレベルにすら女性が就任したという話はほとんど聞いたことがない。スポーツも新聞もそれほど“古いカルチャー”が強い世界だが、なぜ早スポには女性編集長が誕生する土壌が育まれていたのだろうか。そして高橋さんはどうやって「初」の壁を乗り越えたのか――。 ◆ ◆ ◆