すぐには解消しない 2021年、新型コロナウイルスとともに世界を覆ったのが「半導体不足」だ。 IT機器はもちろん、自動車から湯沸かし器にいたるまで、さまざまな機器が半導体の不足によって生産に支障が出て、品不足や操業停止に陥った。 2022年に入っても、各所の状況を見るかぎり、残念ながらすぐに解消……というわけにはいかない雲行きだ。 半導体はなぜ、これほど不足したのか? 「半導体不足」とは、いったいどのような状況なのか? それを解説してみたい。 なぜ起きたのか? 基本的な点から始めよう。──そもそも、半導体不足はなぜ始まったのか? 多くの人は、「コロナ禍におけるIT機器の需要増加が原因」と考えているかもしれない。だが、話はそれほど単純ではない。 半導体不足そのものの始まりは、アメリカ大統領がまだドナルド・トランプ氏だった当時に遡(さかのぼ)る。アメリカはその頃から、中国に対する経済的な対立姿