酒の上での失敗。私も含め身に覚えのある人が多いだろう。思い出すたび情けないが、そんな気持ちも栗下直也の『人生で大切なことは泥酔に学んだ』を読めば、自分はまだましなほうだと、間違いなくやわらいでくる。 各界有名人総勢27名のとんでもない泥酔エピソードが紹介されている。どれもすごいが、酒乱スケールの大きさでは、第二代内閣総理大臣・黒田清隆の右に出る者はおるまい。 北海道開拓使であった黒田、商船に乗っていた時、酒に酔って戯れに岩礁めがけて大砲を発射した。あろうことか狙いがはずれて住民が死亡するも、示談で片を付ける。かなりのものだが、これで驚くのはまだ早い。 その二年後、酒に酔って帰宅した黒田は、出迎えが遅いと激怒し、なんと、妻を斬殺したという。殴り殺したという説もあるらしいが、どちらにしたって恐ろしい。薩摩の盟友・大久保利通がかばい、忖度が山ほどなされて、公には病死ということにされた。 力道山、