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ブックマーク / book.asahi.com (94)

  • 「もう一つのフランス」の現実 ノーベル賞受賞、アニー・エルノーさんと私 翻訳家・堀茂樹|好書好日

    慶応義塾大学日吉キャンパスで講演するアニー・エルノーさん。左は堀茂樹さん=2004年、堀さん提供 あえて僭越(せんえつ)な言い方をするなら、アニー・エルノーは私にとって「旧知の」作家である。彼女のノーベル文学賞受賞の報に接した直後、私は自分の古い個人ファイルの中に、A4六枚をホッチキスで留めた簡易文書を見つけた。勿論(もちろん)、身に覚えがある。題して「翻訳企画。アニー・エルノー、証言としての文学」。日付は「一九九二年二月」。約三〇年前である。 当時日でエルノーは未(いま)だまったく無名だったが、私は早川書房宛てのその企画書で、彼女の一九八四年度ルノードー賞受賞作品『場所』、八八年一月刊行の『ある女』、そして、フランスで発売されたばかりだった『シンプルな情熱』の概容(がいよう)を紹介し、大型ではないが質が高いと力説していた。性愛に埋没した自分を語る『シンプルな情熱』も含めて、この作家は「

    「もう一つのフランス」の現実 ノーベル賞受賞、アニー・エルノーさんと私 翻訳家・堀茂樹|好書好日
    dowhile
    dowhile 2022/12/12
  • tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日

    tofubeatsさん tofubeats(とーふびーつ) 1990年生まれ神戸出身のラッパー/プロデューサー。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生で国内最大のテクノイベント「WIRE」に最年少で出演。代表曲は「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」「水星 feat. オノマトペ大臣」など多数。2022年には中村佳穂らが参加した4年ぶりのフルアルバム「REFLECTION」、初の著書『トーフビーツの難聴日記』を発表する。 目標とするECDと小西康陽 ――アルバム「REFLECTION」と同日に出版される『トーフビーツの難聴日記』のゲラを読ませていただきました。tofubeatsさんは2015年にご自身の会社・HIHATT(ハイハット)を立ち上げましたが、創作以外にも、サンプリングのクリアランスや楽曲の権利処理、契約書の内容を弁護士さんに相談したりといろんな実務を並行されているん

    tofubeatsの知を拡張する愛読書 知らないより知ってたほうが、面白い確率が高い|好書好日
  • 佐藤究さん「テスカトリポカ」インタビュー 暗黒の資本主義と血塗られた古代文明が交錯する、魔術的クライムノベル|好書好日

    佐藤究(さとう・きわむ)作家 1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義の『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、作家デビュー。しばらく純文学作家として活動した後、16年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。佐藤究名義で再デビューを果たす。18年『Ank: a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞と、第39回吉川英治文学新人賞を受賞。『テスカトリポカ』は前作以来約3年半ぶりとなる待望の新作。 コーマック・マッカーシーを指針として ――『テスカトリポカ』はメキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人バルミロ・カサソラが、潜伏先のジャカルタで日人臓器ブローカーと知り合い、神奈川県川崎市で心臓売買のための組織を作りあげていく……という衝撃的内容のクライムノベルです。前作『Ank: a mirroring ape』から約3年半ぶりの長編となりますが、執筆の経緯

    佐藤究さん「テスカトリポカ」インタビュー 暗黒の資本主義と血塗られた古代文明が交錯する、魔術的クライムノベル|好書好日
  • Riverside Reading Clubが『ヒップホップ・アナムネーシス』著者・編集者と「救済」をテーマにおしゃべり|好書好日

    「ヒップホップ・アナムネーシス──ラップ・ミュージックの救済」/「福音と世界」 Lil Mercy:今回は『ヒップホップ・アナムネーシス』で自分にインタビューしてくれたライターの五井健太郎さんと、編集の堀真悟さんをゲストに迎えて、同書のテーマである「救済」をキーワードにお話ししたいなと思っています。自分のインタビューが載ってるから言うわけじゃないけど、『ヒップホップ・アナムネーシス』はすごく良いなんですよ。 ――『ヒップホップ・アナムネーシス』はマーシーさんやBADSAIKUSH(舐達麻)ら6名のラッパーのインタビュー、五井さんや音楽ライター・二木信さんによる論考、さらにディスクガイドなどで、キリスト教の視点をベースにしながらヒップホップの描く「救済」に焦点を当てたです。 ikm:僕はたぶん東京で一番最初に『ヒップホップ・アナムネーシス』を買ったと思います(笑)。マーシーくんのレコーデ

    Riverside Reading Clubが『ヒップホップ・アナムネーシス』著者・編集者と「救済」をテーマにおしゃべり|好書好日
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    dowhile 2021/07/10
  • 「ブラタモリ」で紹介できない京都を歩く 京大・高木博志教授の「ブラタカギ」、裏歴史に目背けず|好書好日

    「性や死を隠蔽した観光言説がなにをもたらすのか、考えて」 年間5千万人以上が訪れる京都市は、観光都市として世界的成功例だ。芸妓(げいこ)舞妓(まいこ)の「もてなし文化」など、イメージ作りのうまさが際立つが、一風変わった“観光ツアー”もある。京都大学人文科学研究所の高木博志教授の「ブラタカギ」は、学生や教職員をガイドする人気授業。「歴史は正も負も複眼的にみる必要がある。(テレビの)ブラタモリでは絶対紹介できない京都を歩きます」とは高木さんの前口上である。 この日は新京極から鴨川の河原に隣接する歌舞伎の南座、祇園をへて、豊国神社へと南下するコースだ。おしゃれな繁華街・新京極は、寺院が並ぶ寺町に隣接する。「寺とはかつて興行の場でもあった」と高木さんは言う。江戸時代の寺院境内の興行は、明治維新後、常設の興行地域に変貌(へんぼう)する。明治時代に歌舞伎や浄瑠璃や寄席、大正・昭和に映画館と、時代に応じ

    「ブラタモリ」で紹介できない京都を歩く 京大・高木博志教授の「ブラタカギ」、裏歴史に目背けず|好書好日
  • 石川博品「ボクは再生数、ボクは死」 VR世界で繰り広げる大抗争|好書好日

    薄給にあえぐ会社員・狩野(かのう)忍、28歳。しかし一度、VR(仮想現実)世界にログインすれば、彼は「世界一カワイイ」美少女シノになる。軽自動車1台分の金額をつぎ込んだアバター(VRにおける自分の分身)をまとい、夜な夜なVR風俗に通うシノ。だが、お気に入りのVR風俗嬢・ツユソラが一晩100万円の超高級店に移籍してしまったことで、シノは彼女と再会する資金を稼ぐため、動画配信を始めることになる……。 CGやイラストで描画されたキャラクターをアバターとしてYouTubeなど動画投稿サイトで配信を行うバーチャル・ユーチューバーは、キズナアイを筆頭に、すっかりネットに定着した。VR用の美少女アバターを手に入れることを指して「バ美肉」(バーチャル美少女受肉の略)なる言葉も生まれている。 『ボクは再生数、ボクは死』はそんなVR文化が題材の作品だ。著者・石川博品(ひろし)は、旧ソ連風の全体主義国家で少数民

    石川博品「ボクは再生数、ボクは死」 VR世界で繰り広げる大抗争|好書好日
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    dowhile 2020/12/06
  • 「民衆暴力」書評 仁政なき世に人々の怒りどこへ|好書好日

    民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日近代 (中公新書) 著者:藤野裕子 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日近代 [著]藤野裕子 暴力はいけない、それは間違いない。ただ、それだけでいいのか。過去に民衆がふるった暴力を、安易に正当化するのでも、あるいは単に否定するのでもなく、まずは理解し、その上で暴力とは何かを考えようとするのが書である。江戸の百姓一揆を助走に、新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺の四つの事件について、最新の研究の知見をもとに詳細な検討が加えられる。 江戸の百姓一揆はやみくもに暴力をふるうものではなかった。訴願を聞き入れられるよう一定の作法があり、領主の側にも百姓の生業を維持する仁政イデオロギーがあった。やがて商品経済が発達する中、作法を逸脱する一揆も出てきたが、明治維新後に起きた新政反対一揆

    「民衆暴力」書評 仁政なき世に人々の怒りどこへ|好書好日
    dowhile
    dowhile 2020/10/21
  • R・ドーキンス「さらば神よ」他1冊 反進化論を問いただす信念と勇気 朝日新聞書評から|好書好日

    さらば、神よ 科学こそが道を作る 著者:リチャード・ドーキンス 出版社:早川書房 ジャンル:自然科学・科学史 さらば神よ 科学こそが道を作る [著]リチャード・ドーキンス/ダーウィン『種の起源』を漫画で読む [文]チャールズ・ダーウィン、[編・文]マイケル・ケラー、[絵]ニコル・レージャー・フラー リチャード・ドーキンスは『利己的な遺伝子』『神は妄想である』などの世界的ベストセラーで知られる進化生物学者だ。特に、自然界は人智を超えた「何者か」によって創造されたとするインテリジェント・デザイン説を痛切に批判し続けている。書は、高校生から大学生程度の若者を念頭に、時にユーモアを交えながら、宗教の非科学性を一刀両断にする。 第1部「さらば、神よ」では、聖書にちりばめられた非論理性記述に厳しくツッコムことで、それらを無批判に受け入れる危険性を指摘する。聖書を原理主義的に信じる人がほとんどいない日

    R・ドーキンス「さらば神よ」他1冊 反進化論を問いただす信念と勇気 朝日新聞書評から|好書好日
  • 進化した仏像の知識、アップデートのススメ 『新版仏像 日本仏像史講義』山本勉さんに聞く|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 書籍情報はこちら 表紙の仏像はお気に入りの写真 ――旧版から7年、今回は新版として出版されました 表紙は、旧版と同じ菩薩立像(東京国立博物館)で、私がとても気に入っている写真です。宝冠の横から細長い飾り(冠繒〔かんぞう〕)が垂れ下がっています。造られたときからの飾りなのですが、実はけっこうな重さがあり危険なので、展示には使えないんです。ある時、倉から発見されたんです。くねくね曲がっていますが、金属なので実際は曲がらないためつけるのが面倒なんですよね(笑)。 先がクルッと巻いているのが、とても良いイメージなので注目してみてください。実は、私の『仏像のひみつ』(朝日出版社)の表紙イラストのモデルにもなっています。 ――サブタイトルの「日仏像史講義」としたのはなぜでしょうか 元々は10冊のシリーズタイトルとして考えていましたが、それが6冊の構想になり、最終的にはこの

    進化した仏像の知識、アップデートのススメ 『新版仏像 日本仏像史講義』山本勉さんに聞く|じんぶん堂
  • 「三体」翻訳者・大森望さんインタビュー 「若かったころのSFの、野蛮な魅力に溢れている」|好書好日

    大森望(おおもり・のぞみ)翻訳家・書評家 1961年生まれ、京都大学文学部卒。SF作品を中心とした翻訳・評論を長く手掛ける。訳書に『クロストーク』(コニー・ウィリス著、早川書房)、著書に『21 世紀SF1000』(同社) など多数。 最初の印象は、すごく古臭いSF ――まずは未読の人向けに、第1部『三体』ストーリーのおさらいをさせていただければ。文化大革命で父を殺された中国の女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)は、異星人との電波交信を試みる軍の秘密基地にスカウトされることに。計画は失敗に終わったとされましたが、彼女は軍には秘密で宇宙人との交信に成功、彼らの地球侵略の“手引き”をしていました。 四十数年後の現代、世界中で科学者が相次ぎ自殺する事件が発生。もう一人の主人公であるナノテク研究者の汪淼(ワン・ミャオ)は、原因究明の依頼を受け国際的な学術団体に潜入することに。科学的にあり得ない怪現

    「三体」翻訳者・大森望さんインタビュー 「若かったころのSFの、野蛮な魅力に溢れている」|好書好日
  • 「育ちすぎたタケノコでメンマを作ってみた。」玉置標本さんと河原をゆく 採集できた食べ物は・・・?|好書好日

    文:加賀直樹、写真:加藤梢 玉置標(たまおき・ひょうほん) 1976年、埼玉県生まれ。大学時代を山形県で過ごし、東京のウェブ制作会社に勤めた後、30歳でフリーライターに転身。趣味は自然の中や家庭菜園からの物調達全般で、採ったり育てたりした材の記録を「標」している。最近は昭和の家庭用製麺機を使った麺づくりが趣味で、同人誌趣味の製麺」シリーズの編集長を務める。 まずは桑の実(マルベリー)を採集、実 ――今にも雨の降り出しそうな空。降られなきゃ良いけれど……。川べりに到着しました。鳥が鳴いています。土手には、約3メートルの大木が。何の木だろう。 これは桑の木です。そしてこれが桑の実。2センチぐらいの大きさで、真っ黒になっていますよね。これぐらい真っ黒に色が変われば美味しいんです。 ――どんな味がするんだろう。 べてみます? ――そのまま生でべちゃうんですか。 ちょっとザルを持って

    「育ちすぎたタケノコでメンマを作ってみた。」玉置標本さんと河原をゆく 採集できた食べ物は・・・?|好書好日
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    dowhile 2020/07/03
  • 二宮敦人さん『「競技ダンス」へようこそ』インタビュー 「きれいなゴキブリ」目指した大学競技ダンス部の4年間|好書好日

    文・松澤明美、 写真は、大会で踊る一橋大学時代の二宮さん(新潮社提供) 二宮敦人(にのみや・あつと) 1985年、東京都生まれ。「ALL一橋大学体育会競技ダンス部」卒(学部は経済学部)。会社員生活を経て、2009年、「!」(アルファポリス)でデビューし、同シリーズは累計20万部を超える。初のノンフィクション『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)など、ミステリーやホラー、ライトSF、ラブコメディ、フィクションまで著書多数。 きれいなゴキブリを目指した −−社交ダンスはパーティーで踊ることを目的として、いろいろな相手とダンスを楽しみます。一方、競技ダンスは社交ダンスがスポーツ化され、同じパートナーと競技会に出場して技などを激しく競い合います。その際には明確な採点基準はなく、審査員の主観で結果が左右される珍しい競技です。 大勢のカップルが一斉に踊る競技ダンスは、最初の10秒も

    二宮敦人さん『「競技ダンス」へようこそ』インタビュー 「きれいなゴキブリ」目指した大学競技ダンス部の4年間|好書好日
  • GHQが「洗脳」?実態は 賀茂道子さん、保守論壇「自虐史観植え付けた」説を史料で探る|好書好日

    「ウォー・ギルト・(インフォメーション・)プログラム」という言葉が保守論壇で流行している。第2次世界大戦後の占領軍の計画で、日人は洗脳され、自虐史観に塗り替えられたというのだ。その全体像を膨大な史料から探った著作が公刊された。当に日人は洗脳されたのか。研究の結果から著者は「洗脳されたとは思えない」という。 「体系的な施策ではなかった」 著作は『ウォー・ギルト・プログラム――GHQ情報教育政策の実像』(法政大学出版局)。著者は賀茂道子・名城大学非常勤講師(日政治外交史)だ。 この言葉は、文芸評論家の故・江藤淳氏が1989年の『閉(とざ)された言語空間』(現在は文春文庫)で紹介した。GHQ(連合国軍総司令部)の文書から見つけた江藤氏は、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」と表記した。現在の保守論壇はWGIPと略す。 ◇ 代表的な施策が二つあったとされる。GHQの一部門CI

    GHQが「洗脳」?実態は 賀茂道子さん、保守論壇「自虐史観植え付けた」説を史料で探る|好書好日
  • 「近現代日本の民間精神療法」 国境越えねつ造された起源を暴く 朝日新聞書評から|好書好日

    ISBN: 9784336063809 発売⽇: 2019/09/13 サイズ: 22cm/399,15p 近現代日の民間精神療法 不可視(オカルト)なエネルギーの諸相 [編]栗田英彦、塚田穂高、吉永進一 私は学生の頃から、催眠術、西式健康法、野口整体、手かざし、静坐法などをやってきた。医者に行ってもどうにもならない問題があったからだ。一定の効果が感じられる以上、それらの療法を斥ける理由はなかった。それらにどういう「科学的」根拠があるのかわからないが、そのうちわかるだろうと思っていた。まだ、そうなってはいない。ただ、「民間療法」と呼ばれる、これらの療法に関する研究は進んできている。私は以前に『癒しを生きた人々』(1999年)というを読んだことがあるが、書はそれを受け継ぐとともに、もっと格的に考察を広げている。そのことは、巻末の「民間精神療法主要人物および著作ガイド」を見れば明白であ

    「近現代日本の民間精神療法」 国境越えねつ造された起源を暴く 朝日新聞書評から|好書好日
  • 南方熊楠、江戸川乱歩、北一輝……異才たちを翻弄する少女人形 柴田勝家さんの昭和伝奇SF巨編「ヒト夜の永い夢」|好書好日

    柴田勝家(しばた・かついえ)SF作家 1987年東京都生まれ。成城大学大学院在学中の2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞してデビュー。民俗学を下敷きにした作品で知られるSF界のホープ。作品に『クロニスタ 戦争人類学者』、「心霊科学捜査官」シリーズなど。ペンネームは敬愛する戦国武将・柴田勝家に由来。 ――『ヒト夜の永い夢』は、博物学者・南方熊楠が機械仕掛けの自動人形を発明していたら、という仮説を軸にした伝奇SFです。600ページ近い大作ですが、構想の発端は? 当初はアンドロイド化した天皇が日を統治し続けている、という設定のSFを構想していたんです。いくつかの作中作を含む長編で、その過去編の主人公として南方熊楠は登場していました。しかし書いているうちに過去編がどんどん膨らんで、とても作中作では収まらないボリュームになってしまった。担当さんとも話し合った結果、その

    南方熊楠、江戸川乱歩、北一輝……異才たちを翻弄する少女人形 柴田勝家さんの昭和伝奇SF巨編「ヒト夜の永い夢」|好書好日
  • 朝日新聞「平成の30冊」を発表 1位「1Q84」 2位「わたしを離さないで」 3位「告白」|好書好日

    1位 『1Q84』(村上春樹、新潮社、2009年) 『1Q84』はBOOK1・2が平成21年、翌年BOOK3が刊行された。夜空に二つの月が浮かぶ「1Q84年」の世界で、10歳で離ればなれになった青豆と天吾が再会するまでの物語。カルト教団も描かれたことで、高い注目を集めた。毎日出版文化賞。21年の年間ベストセラー第1位(日販調べ)で、単行・文庫の累計部数は約860万部。 京都大教授の中西寛さんは「平成時代において最も注目を集めた文芸作品。野茂英雄が野球の世界で行ったように、日語文学の世界性を意識させた」と解説する。コラムニストの堀井憲一郎さんは「平成時代は『村上春樹の時代』でもあった。この書籍に対する期待度と売れ具合は尋常ではなかった。日常生活でふつうの人が小説を話題にできた最後の作品だったかもしれない」と評価した。文筆家の青木奈緒さんも「平成の日の世相を描いた、平成を代表する小説」と

    朝日新聞「平成の30冊」を発表 1位「1Q84」 2位「わたしを離さないで」 3位「告白」|好書好日
  • SF×百合ブーム、キマシタワー! 謎マリアージュの魅力、仕掛け人編集者が語る|好書好日

    文:ハコオトコ 写真:斉藤順子 溝口力丸(みぞぐち・りきまる)編集者 1991年、東京都生まれ。早川書房でSF専門文芸誌「SFマガジン」のほか、SFを中心とした書籍の編集を手がける。担当小説に『裏世界ピクニック』(宮澤伊織)、『最後にして最初のアイドル』(草野原々)、『ファイト・クラブ〔新版〕』(チャック・パラニューク)など。 百合にみんな“飢え”ている!? ――文芸誌の不況と言われる今、溝口さんが担当編集者を務めたSFマガジンの「百合特集」の売れ方にはすさまじいものがありました。 今回のは企画から原稿の依頼などを私1人でこなしました。「百合なんか売れないでしょ」という声も事前に聞きましたが、発売2週間前に在庫が切れましたね。Amazonの在庫もすぐ無くなった。とにかく異様でした。 の売れ方というよりは、何だか品というか生活必需品のような売れ方でした。今の百合好きな人々は、(百合作品

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  • 日本SF大賞2度受賞の作家が生み出した〝レイゴウキン〟とは 飛浩隆さん8千字インタビュー|好書好日

    はるかなる未来――。「特種楽器」の技芸士トロムボノクは、特異体質の美少年シェリュバンと一緒に宇宙を旅している。2人は老商人に誘われ、ある惑星へ。そこでは、およそ70万個の鐘を1千人の奏者が鳴らす巨大なカリヨン(組み鐘)が「埋蔵楽器」として眠り、首都の開府500年を記念して、今しも打ち鳴らされようとしていた……。 ――『零號琴』の構想は初めての長編『グラン・ヴァカンス』(2002年)の刊行前からあったそうですね。いつごろからだったのでしょうか。 正確な時期は覚えていないです。すでに消えてしまった高度な文明があって、それがあちこちの星に楽器をたくさん残していて。ぼんやりとしたイメージでは、建物大の変な楽器がたくさんある。パイプオルガンみたいなものとか、いろんな変な音が出るものがたくさんあり、それを修理して回る主人公と、お話をかき乱す相棒がいて……みたいな感じになれば楽しいだろうなという、その程

    日本SF大賞2度受賞の作家が生み出した〝レイゴウキン〟とは 飛浩隆さん8千字インタビュー|好書好日
  • 「幻の作家」山尾悠子さん1万字インタビュー 幻想小説というレッテルなら作家でいられるかも |好書好日

    文・写真 山崎聡 火が燃えにくくなった世界を舞台に、前半部「Ⅰ 飛ぶ孔雀」と、書き下ろしの後半部「Ⅱ 不燃性について」からなる連作長編。前半部の主舞台は、蛇行した川のなかにある川中島Q庭園。天守閣を借景とした4万坪の池泉(ちせん)回遊式庭園で真夏の大茶会が開かれ、多くの人々が集う。濃い緑の芝に緋毛氈(ひもうせん)と野だて傘。夜は電飾で一面が光の海と化し、パレードの楽隊が大音量で行進する――。散文詩のような文体でつづられる光景が、徐々に物語の予兆をはらむ。 ――『飛ぶ孔雀』の前半部は自身初めての文芸誌掲載でした。 私は40年ぐらい前に(執筆を)スタートした人間で、途中で育児休暇みたいなブランクが長かったりするんですけれども、とにかく40年前に世に出た時といまとは、まったく状況が違っていたんですよね。たまたまご縁があってSFの場所から出たのですけれど、ほぼ最初に書いた「夢の棲む街」がSF専門誌

    「幻の作家」山尾悠子さん1万字インタビュー 幻想小説というレッテルなら作家でいられるかも |好書好日
  • コラム別に読む : 大量生産品のデザイン論 佐藤卓さん - 真田香菜子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■目指すのは、存在感消した無名性 デザイナー歴30年以上。ファッションブランドや企業のロゴなど時代の先端で活躍してきた。昨年から、東京・六木にあるデザインミュージアムの館長も務める。しかし「デザインケータイ」「デザイン家電」という言葉に感じるのは憤り。「オシャレとか、かっこいいとか、特別なものだけがデザインなんて、とんでもない」 飲み物やガムのパッケージも手がける。書では、それらの制作・思考の過程や自身の歩みを振り返った。環境意識の高まり、人々の関心がモノからコトの消費へ移行したと言われるなか「大量生産」とは、前時代的な響きにも感じるが……。「でも地球規模の人口増加に直面し、大量生産品は社会インフラとして機能している。資源・流通・ゴミなどの問題に直接的につながっていて、容器の形状などをデザインする立場で、深く関わる意義を感じます」 原研哉や深澤直人ら同世代に比べ作家性が薄いと言われる。

    コラム別に読む : 大量生産品のデザイン論 佐藤卓さん - 真田香菜子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
    dowhile
    dowhile 2018/02/16