異例のスピード解散を経て始まった衆院選もいよいよ10月27日の投開票を迎えます。一票を投じるにあたり、大事にしたいことは何か、さまざまな社会課題と向き合う立場から考えます。 イギリスで政治学を学んだ経験から、選挙や政治について「個が生き延びるための行為であり、国民主権の問題」と語る、英文学者の小川公代さん。政治への関心が高まらない現状をジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』に重ねつつ、「ケアの倫理」をヒントに考える、選挙への向き合い方とは。 10・27を話そう⑧ 英文学者の小川公代さん ――選挙への向き合い方で大事にしていることはありますか。 私は「どちらがいいか」という二元論に回収されない「ケアの倫理」をずっと論じてきて、そのなかで「ネガティブ・ケイパビリティ」(不確かさや疑いのなかにいられる能力)、つまり悩み続けることを諦めないことを考えてきているんですが、選挙についても同じことが言