日本人研究者の情報利用行動 慶應義塾大学:倉田敬子(くらた けいこ) 1. はじめに 本稿では、カレントアウェアネス編集事務局から依頼のあった「日本人研究者の情報行動に関して日本語で最近(過去5年程度に)書かれた研究論文」に関してレビューを行う。情報行動にどこまで含めるかについては、多様な立場が存在するが、よく使われている意味で、日本人研究者がどのように情報を探索し、さまざまな情報源を入手・利用しているかに焦点を当てることとした。この条件に当てはまる雑誌論文は、4論文しか見あたらない状況であった。(これら4論文に関しては、3で詳細を紹介する。) 欧米においては、研究者の情報行動に関する研究は一つの研究領域を形成するほど、数多くなされている。もともとは図書館や情報サービスの利用者がどのような関心、ニーズを持ち、実際に情報を探索し、入手しているのかを明らかにする、いわゆる「利用者」という視点