次世代やその先の子孫のために文書・記録を残していくことは、アーカイブズの大切な使命です。しかし、史資料は放置すれば劣化が進んでしまいます。 史資料の劣化の深度には、次のような段階があります。手にとって見ることができる状態(A)、取り扱いに注意を要する状態(B)、修復が必要な状態(C)、そして修復ができない状態にまで劣化が進んでしまうケースもあります。多くの場合、Cの状態になると専門家の助けが必要ですが、A・Bの状態をCまで進行させないための措置は、専門家だけではなく、史資料の保存にかかわるすべての人の責務であるといえるでしょう。 史資料の急激な劣化を回避・予防するための保存措置を、欧米ではPreventive Conservationといいます。Preventive Conservationでは、「自分たちでできることは自分たちでやる」という積極的な気持ちと、知恵を出し合い相互に助け合う体