<日文便り> 上海交通大学の呉保華先生が志賀直哉の処女作の一つ、童話「菜の花と小娘」(大正8年)を題材として講義をして下さいました。 「菜の花と小娘」あらすじ 山で仕事をしていた小娘は、夕方家路についた時、たった一輪他の花から離れた所に咲いていた菜の花に呼びかけられます。 「仲間のいる所に連れて行って」と頼まれた小娘は、菜の花を連れて川沿いの道を下っていきます。 小娘のほてった手にぐったりした菜の花を、小川に放ち、小娘は生気を取り戻した菜の花を追ってふもとまで走り、ふもとの村の仲間のところに植えてやるのです。 【呉先生のご講義】 この作品には「花ちゃん」という明治30年代に書かれた草稿があります。 この2つを比較すると言動の違いから、<花ちゃん>と<小娘>の人柄の違いや、<菜の花>との関係生の違いが鮮やかに浮かびあがるのです。 草稿では、2人は古い友達同士のような対等関係だったのに、処女作