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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (10)

  • 人質殺害事件に寄せて

    人人質事件は、残念な結果になった。 昨年六月に登場して以来、その残虐さで国際社会を震撼させてきた「イスラーム国」が、いかに深刻な問題かを、日は遅ればせながら実感したことになる。 この問題について、筆者はあまり語ってこなかった。少ない情報で、しかも人命がかかっていることで、あれこれ語ることがいいとは思えなかったからだ。この事件に関する日の報道を見ていると、解決に逆効果をもたらしたのではないかと懸念する。 そもそも、国内の普通の誘拐事件だったら、ここまで情報や憶測を垂れ流しにしただろうか。こうすればよい、ああすればよい、といったコメントが、いちいち日側の手の内、対応を犯人に晒しているとの自覚はなかったのだろうか。 犯人が海外だから、日国内で交わされる議論は聞こえないとでも思っているのかもしれない。だが、ネットに掲載される情報は日語でも簡単に自動翻訳にかけられるし、テレビ画像でもY

    egamiday2009
    egamiday2009 2015/02/02
    「日本語で行われる議論は日本国内でしか消費されないと思い込んでいるなら、大きな間違い」
  • 「SHERLOCK シャーロック」ブームに思うこと

    にもファンの多い、イギリスBBC製作のドラマ「SHERLOCK」(以下、「シャーロック」)の最新シリーズを、中国にいるわたしは一足先に堪能させてもらった。中国では、2年間ファンを待たせ続けたプレミア放送が国イギリスで始まった2時間後に、BBC提供の中国語字幕付きが動画サイト「優酷 YouKu」で配信されたのだ。朝7時という時間にもかかわらず、配信から24時間のうちになんと500万回も視聴されたという。 香港紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』は、「優酷」はその配信権の取得に1億人民元(約17億円)以上をかけたと伝えている。とはいえ、他のメディアは一切伝えていないので確証はない。ただキャメロン首相は一昨年にダライ・ラマと会談して中国にずっと無視され続けた後初めての訪中だったため、超低姿勢を貫き通し、英メディアには「土下座外交」とまで揶揄された。ネットで一度はファンからの要請をやんわり

    「SHERLOCK シャーロック」ブームに思うこと
    egamiday2009
    egamiday2009 2014/01/23
    「「自作の海賊版をお金を払ってわざわざ買うの?」と驚いているわたしに、彼はこう言った。」
  • 「建築のジェノサイド」に気付かない日本

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔9月3日号掲載〕 鎌倉を世界文化遺産に登録しないように──ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)がそう勧告したことを受け、松尾崇・鎌倉市長と黒岩祐治・神奈川県知事は会見で無念さをにじませた。 鎌倉市当局は中世の都市としての「物的証拠が不十分」と指摘されたことを認め、私にこう説明した。人類の遺産として保護する価値があると世界に認めてほしいのは、鎌倉を取り囲む山々とその麓に点在する寺院や遺跡だ。そこに日独自のサムライ文化があると自分たちは考えているが、イコモスにはその意図が十分伝わらず、「武家の古都」とする根拠が不十分だと判断された、と。 黒岩知事は今回の勧告に「目の前が真っ暗になるような衝撃を受けた」と語った。こんな妥当な判断に衝撃を受けているようでは、知事の体が心配になる。そもそも県の誇る珠玉・鎌倉がじわじわ破壊さ

  • 嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月30日号掲載〕 6月30日、私は最近話題になっている嫌韓デモに行ってみた。このデモは東京の新大久保で何年も前から、毎週日曜日に行われているものだ。私は不安を胸に家を出た。自分の身も心配だったが、新大久保の人々のことも、日の対外イメージのことも心配だった。 実は新大久保はサンフランシスコのチャイナタウンやパリの日人街と同じような「観光スポット」だ。外国人にとって、新大久保のコリアンタウンを歩くことは伊勢丹新宿店の地階と同じくらい楽しさと驚きに満ちている。伊勢丹が日がいかに洗練されているかを示しているとすれば、新大久保の街が示しているのは日が外国人に対してフレンドリーで開かれた国であり、他国の文化が生き生きと存在できる国だということだ。 だがデモのせいで、新大久保は日が外国人にとっていかに不快な国になり得るかを象徴する場所となった。嫌韓デモ

  • 社員旅行で眺めた日本

    5月中旬、友人から携帯にメッセージが届いた。「日では日酒と、冷たいビールと、冷たい牛乳と、冷たいジュースと、冷たい水道水をそのまま飲んでも、わたしのお腹はなんともない! まだまだべたい飲みたいと思うくらい。中国ならそんなことをしたら1日もしないうちにバッタリだわ。ここは当に素晴らしい国!」 中国IT関連企業に勤めるチャンさんは、社員旅行で初めての日滞在中だった。毎日のように彼女から届く写真とメッセージを見て、6日間の滞在を終えて帰国したチャンさんにお願いして仲の良い同僚のシュウさん、モンさん、ビンさんに集まってもらった。チャンさんが得意げに温泉地から送ってきた写真に浴衣と丹前を上手に着こなして仲良く写っていた男性3人組だ。 残業で遅くなる、というビンさんを待たずに、4人で鍋を囲みながらおしゃべりが始まった。 ――旅行に参加したのは何人くらい? シュウ:うちの社員は20人、あと旅

    egamiday2009
    egamiday2009 2013/05/21
    「見ればなんとなくわかるし」「日本の教科書みたいなのも。日本で何を教えてるか、知りたかったから。「Newsweek」の歌舞伎特集、あと天皇の家族の特集をしている雑誌も買った」「中国じゃ手に入らないから」
  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

  • アメリカのインフラの貧弱さに愕然

    アメリカ東部海岸を襲ったハリケーン「サンディ」。ニュージャージー州やニューヨーク州で大きな被害を出しました。 ここからどんな教訓を汲み取るべきか。誌日版12月5日号に、「サンディより怖い 明日の災害」という記事が掲載されています。 アメリカ大統領選挙中だった私は、ニューヨーク市とニュージャージー州でハリケーンを体験しました。 大きな被害を出したアメリカの人たちには申し訳ないのですが、台風に慣れた日人から見ると、このハリケーン、「ちょっと強くて大きい」程度の台風でした。日だったら、けっしてこんな大きな被害にはならなかったでしょう。災害対策の社会インフラが整っていなかったための"人災"の色彩が強いものでした。 記事は、こう書きます。「自然災害は必ずまた起きる。その時に大惨事へ発展することを防ぐためには、今すぐインフラ整備に着手する必要がある。現在アメリカでインフラ整備に投じられている

  • 眠らない街トーキョーで布団にくるまる贅沢

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔8月1日号掲載〕 たいていの東京人はどこでも眠れる。電車やベンチや喫茶店、それに私の授業でも。ある晩、立ち飲み屋で隣り合わせた男性などは、立ち飲み屋なら寝ないからいいと言っておきながら、立ったまま寝ていたくらいだ。そんなふうにどこでも眠れる東京人だが、大のお気に入りは清潔なふかふかの布団で寝ることだ。 東京暮らしを始めて最大の変化は、ベッドをやめて布団にしたことだ。最初は布団で寝るというエキゾチックな経験を楽しんだ。布団は上げて干すものだなんて誰も教えてくれなかったから、初めての布団はいつの間にか湿ってカビだらけになっていた。慌てて手入れをするようになって、布団の移動サイクルというやつが次第に身に付いた。布団は毎日、床からベランダへ、それから押し入れへ運ばれるし、店から家庭へ、最後には「粗大ゴミ」置き場へ運ばれる。 前かがみになって布団を畳む動作(

  • 「黒船」アマゾン来襲を前にして日本の電子書籍は壊滅状態

    経済新聞によれば、アマゾンが年内にも日電子書籍を販売するという。こういう記事はこれまでにも何度も出ており、今度も「狼が来た!」に終わる可能性もあるが、PHP研究所が10月中にも契約するというから、今回は根も葉もない話ではないようだ。 アマゾンは、日ではすでに電子書籍端末「キンドル」を投入しているが、電子書籍は売っていない。出版業界を取り仕切る取次との合意ができないからだ。日の出版流通は委託販売という特殊な方式になっており、はすべて取次が選んで小売店に配し、返品自由になっている。このため取次は出版流通の要であり、出版社からを仕入れて代金を前払いすることによって零細な出版社の金融機能も果たしている。これが電子化されると、取次は「中抜き」されてしまうからだ。 アマゾンのキンドルは、アメリカでは販売部数で紙の書籍を超えた。部数は公表されていないが、紙の書籍100に対して電子書籍

    「黒船」アマゾン来襲を前にして日本の電子書籍は壊滅状態
  • こんなに政治家がダメでも日本が機能している理由 | TOKYO EYE | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月27日号掲載〕 アメリカの作家ポール・セローはかつて、東京があまりに効率的なのに感服して「これは都会じゃない、機械だ」と評したことがある。 確かに東京は最高に効率的な都会の1つだ。しかも人間に頼らず、自力で機能しているらしい。13時24分に到着予定の電車は13時24分ぴったりに到着するし、荷物は指定した時間にきちんと届く。忘れ物をしても、たいていは戻ってくる。この街に「想定外」はない。 東日大震災が発生した3月11日も、東京で印象的だったのは混乱ではなく秩序だった。あれがパリなら略奪が起きていただろう。アメリカ人も、大型ハリケーン「カトリーナ」がルイジアナ州を襲ったときは大混乱に陥った。 だが日は違った。外資系の銀行に勤める友人は、3月11日の午後4時に金融庁に電話して、いつもどおりに営業終了後の報告が必要かと聞いたそうだ。すると金融庁の職員

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