「採集抄」は、採集者・デザイナー・プリンターとして活動する吉田勝信が、子どもの頃の記憶や山形での体験をもとに綴ったエッセイです。2025年9月より、隔週日曜にニュースレターとして配信しています。 シロの調子 採集抄 #15 二〇二六年三月十六日 長年、採集をしていると同じ獲物を採っている採集者に出くわすことがある。麓にある湧水の沢でキノコを洗っているジイさん。友人が採集の教えを乞うている人。私の先達の話に登場する先達の先達。私よりも長く山に入っている若年の採集者。彼らとは採集話が尽きない。 他愛もない話の途中で、たまに聞きなれない単語がふっと登場する。方言ほど地域性はなく、スラングほど乱暴でもなく、専門用語ほど定義も堅くない。採集者のあいだだけで生きている、そんな言葉がある。こんな感じで使う。 「今年のシロの調子はどうだい?」 * 初めて聞いたのは岩手に住む先輩の採集者からだった。クマブチ

