かつお節と結納用品と 大阪・船場の老舗商家は「時代の波」と向き合ってきた。かつお節と結納用品を手がけてきた高麗橋の「渋谷(しぶたに)利兵衛商店」もその一つだ。 創業は江戸時代の享保9(1724)年と伝わる。将軍・徳川吉宗のころだ。初代当主・布屋利兵衛は現在の奈良県の人らしい。 9代目の渋谷善雄さん(67)によると、当初は奈良で木綿などの布地を扱っていたが、「5代目が大阪に出て、かつお節屋を始めたようです」。ただ、その時期は分からないという。 1882(明治15)年に出た「浪華の魁(さきがけ)」という本がある。大阪のさまざまな商店の店頭が挿絵入りで紹介されている。そこに「鰹(かつお)乃(の)し蠟燭(ろうそく)」の店として「高麗橋西詰 渋谷利兵衛」が載っていた。6代目が切り盛りしていたころだ。 挿絵の左手には「諸国鰹節(かつおぶし)」という看板。そして、右手には「白木臺三宝(しらきだいさんぽう