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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (227)

  • 慰安婦訴訟、国際社会の「最新トレンド」で攻める韓国と、原則論で守る日本

    <ソウルの日大使館が差し押さえられ、「現金化」もされかねない事態を招いたのは、モノ言わず戦いもしない日外交だ> 2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、日韓関係の悪化が霞んで見える状況が続いてきた。コラムでも述べて来たように、この年の8月には、元徴用工問題での被告側日企業資産の「現金化」や日韓GSOMIA破棄期限等があったにも拘わらず、両国関係は一昨年の様に緊張せず、以後も相対的に平穏な状態が続いてきた。 しかしながら、明けて2021年1月8日、韓国から日韓関係を大きく揺るがしかねないニュースが飛び込んできた。即ち、ソウル中央地方裁判所による、慰安婦問題に関する判決である。この裁判は、日軍の元従軍慰安婦12人(故人を含む)が日政府に損害賠償を求めたものであり、ソウル中央地方裁判所は原告の請求を認め、日政府に1人当たり約950万円(1億ウォン)の賠償を命じる事と

    慰安婦訴訟、国際社会の「最新トレンド」で攻める韓国と、原則論で守る日本
  • 議会乱入の暴徒が叫んでいた「ハング・ペンス(ペンスを吊るせ)」のチャント

    トランプの職務停止や弾劾を求める声が高まるなか、ペンス副大統領の判断が注目されている> 先週6日に発生したトランプ支持者による連邦議会議事堂への乱入事件は、結果的にバイデン次期大統領の就任を法的に確定させるとともに、議会の民主・共和両党の圧倒的多数がトランプ政治に決別をするきっかけになりました。 ですが、事件後の米政界は揺れています。何といっても、最大の懸念は1月20日のバイデンの大統領就任式が安全に実施できるかどうかですが、とりあえず首都ワシントンはすでに厳戒態勢にあり、トランプ派が乱入するのを防ぐために鉄製の高いフェンスが議事堂周辺に張りめぐらされています。州兵の動員も始まっており、当日は1万数千人態勢での警備になるようです。 その就任式にはペンス現副大統領は参加、トランプは不参加になる模様です。トランプの不参加は、罷免直前に辞任してカリフォルニアへ去ったニクソンを除いては、健康問題

    議会乱入の暴徒が叫んでいた「ハング・ペンス(ペンスを吊るせ)」のチャント
  • トランプのSNSアカウント停止に、アメリカ国内で異論が出ない理由

    13日にツイッター経由でビデオメッセージを出したトランプ大統領 The White House via Twitter/REUTERS <トランプ派の暴動は首都ワシントンだけでなく、全米各州の「差し迫った」危機となっている> 先週6日に発生した、米連邦議会の議事堂に暴徒が乱入した事件では、トランプ大統領に対する連邦下院の弾劾決議が可決されました。議会への「進軍」を扇動したことが「内乱扇動罪」であるとして、民主党議員の全員に加えて共和党議員からも10人の賛成が出た結果です。 弾劾案は上院に送られ、上院は最高裁判所長官を裁判長とする弾劾裁判所を開くことになりますが、現時点では早い時点での審議が行われるかどうかは不透明です。また上院(弾劾裁判所)での有罪の評決には100議席中の67票の賛成が必要ですが、共和党議員17人の賛成を得る見通しは立っていません。 現時点では、弾劾裁判の再開は「バイデン

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  • 韓国、「正義」のユーチューバーらが暴走 児童性犯罪者の出所トラブルで周辺住民は恐怖の日々

    <凶悪な犯罪者が帰ってくる。だが実際に起きたのはそれだけではなかった──> スマートフォンというツールによって、1人1メディア時代と言われるようになり、誰もが世界に向けて発信できるようになった。以前は、事故現場からの生中継などプロのTVクルーにしかできなかったが、今は誰でも決定的瞬間をスマホで撮影可能だ。 手軽にできるようになりよい面もある一方、そのたやすさに乗っかりエスカレートしてしまうと、一気に暴走をすることもある。しかも、それが「悪人を罰する」と正義を振りかざしている場合、果たしてそれは当の正義なのか、一度立ち止まって考え直す必要がある。 今月12日、韓国ソウル近郊のアンサン市ではそんな人々が大勢押し寄せ騒動となった。ことの発端は、チョ・ドゥスンという一人の犯罪者の出所だった。 凶悪犯罪でも心神耗弱として減刑 チョ・ドゥスンは、2008年12月11日京畿道アンサン市にて、当時小学校

    韓国、「正義」のユーチューバーらが暴走 児童性犯罪者の出所トラブルで周辺住民は恐怖の日々
  • ジャック・マーは中国当局に「消された」のか? 中国を逃れた不動産王の予言が話題に

    Video Predicting Jack Ma Will Either Die or Go to Jail Resurfaces <2カ月にわたって公の場に姿を現さず、ツイッターも更新していないアリババ創業者に何が起こっているのかをめぐり、憶測が飛び交っている> 中国の電子商取引大手アリババと傘下の金融会社アント・グループの創業者である馬雲(ジャック・マー)が行方不明になっている──複数のメディアがこう報じたことを受けて、ソーシャルメディア上では、米在住の中国不動産王が「マーは殺されるか収監される」と予想した動画が拡散されている。 500億ドルを超える純資産を保有し、かつては中国の富豪ランキングのトップに君臨したマーは、ここ2カ月ほど公の場所に姿を見せていない。審査員として出演もしていた起業家育成コンテスト番組「アフリカズ・ビジネス・ヒーローズ」も、11月に行われた最終回の収録には参加

    ジャック・マーは中国当局に「消された」のか? 中国を逃れた不動産王の予言が話題に
  • 日本の自動車産業はどうして「ギリギリ」なのか

    <現状のエネルギー供給体制でEV化はできないし、軽自動車中心の道路インフラではEV普及も進まないという大問題> 12月17日に、日自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、オンライン記者会見で「自動車業界はギリギリのところに立たされている」と述べています。この会見はさまざまなメディアで報道されているのですが、豊田氏の発言の一部だけでは理解できないところがあり、主旨が正確に伝わっているとは思えません。重要な会見だと思うので、あらためて発言の要点を整理したいと思います。 まず、「自動車業界がギリギリのところに立たされている」という発言ですが、これは「トヨタ自動車をはじめとする日の自動車メーカーは、電動化やカーボンニュートラル対応で遅れているので、企業として衰亡のギリギリのところに来ている」という意味ではありません。 トヨタをはじめとする日の自動車産業は、多国籍企業化して

    日本の自動車産業はどうして「ギリギリ」なのか
  • 最新式テクノロジーほど壊れやすいという皮肉

    最新テクノロジーは頼りない?(写真は13年にロンドンの寿司レストランで実施されたドローン配達) Neil Hall-REUTERS <旧式のマシンは最先端のものに取り換えたほうがいい? 身の回りの機器を見てみると、最新技術を詰め込んだハイテクのものほど頼りなくて使い勝手が悪くて耐久性に欠ける> わが家の水道メーターが故障している。もう1年以上止まっているが、わざと僕が壊した(これは重い罰金が科される犯罪だ)と水道会社に思われるのではないか、とちょっと不安を覚えている。結局、水道会社は僕にそんなこと尋ねもせずに、過去の使用状況データから水道料金を決定した。つまり、前年と同じ使用量だと仮定して算出してくれたわけだ。だから推測するに、水道メーターの故障はよくあることで、水道会社もそれを承知しているのだろう。 問題は、これが僕の家で最新のメーターだったということ。僕はこの家に引っ越してきたときにそ

    最新式テクノロジーほど壊れやすいという皮肉
  • コロナ対策の最適解を政治が示せない理由

    <国全体の利益という均衡点は、アクセルとブレーキを同時にかけなければ成立しない> 菅義偉首相の支持率が低下しているようです。日のメディアの報道を見ていますと、新型コロナウイルスの感染が改めて拡大している中で「Go To」キャンペーンを続行したのが理由とされており、政府はキャンペーンの停止を決定しました。 このニュースの受け止め方としては、菅政権が政策を誤った、もう少し穏やかな言い方をすれば「Go To」キャンペーンの「引き際を誤った」ということになります。政治的にはそうかもしれませんが、そもそも「Go To」キャンペーンが当初は東京発着を除外した「トラベル」で開始され、それが拡大していった時期にも、様々な賛否両論がありました。 では、政治的には何が正解なのかというと、おそらく正解は「ない」と思うのです。 まず、感染拡大を極力抑止しようという立場があります。例えば感染症の専門家の観点からは

    コロナ対策の最適解を政治が示せない理由
  • 【オバマ回顧録】鳩山元首相への手厳しい批判と、天皇皇后両陛下への「お辞儀」の真実

    今月の大統領選でバイデンの応援演説をするオバマ前大統領(11月2日、ジョージア州アトランタ) Brandon Bell-REUTERS <外交も含めたオバマ政権8年の政治的決断を克明に記録した書は、歴史的な記録として貴重> かねてから話題になっていたバラク・オバマ前大統領の回顧録『約束の地(A Promised Land)』が、今月17日に発売になりました。紙版では768ページでこれだけでも大冊ですが、実は今回の『約束の地』は前編であり、後編に当たる部分はこれから完成するようです。その後編が仮に同じ分量だとすると2冊で1500ページになるわけで、これは相当な分量です。 肝心の内容ですが、シカゴ時代や上院議員時代から書き起こし、大統領職にあった8年間に、自分がどのように国内外の情勢を認識して、合衆国大統領として判断を下し続けたかが克明に記録されています。もちろん、政治的影響力ということでは

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    emonkak
    emonkak 2020/11/23
  • 新型コロナは2019年9月にはイタリアに広がっていた──新研究

    COVID Spread To Europe Months Before China Reported It, Study Claims <新型コロナウイルス感染症は2019年12月の武漢で最初に報告されたという公式見解が覆れば、このパンデミックの歴史が書き換えられることになる> イタリアの科学者らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年9月からイタリアで拡散していた可能性があると考えている。この見解は、新型コロナウイルスがこれまで考えられていたよりも数カ月早く、中国国外で広がっていたことを示唆している。 世界保健機関(WHO)によれば、COVID-19と呼ばれる疾病の発生は、2019年12月に中国中部の武漢市で最初に報告された。イタリア最初の感染者は、北部ロンバルディア州のミラノ近郊の町で2020年2月21日に確認された。 だが、ミラノにある国立がん研究所の研究によ

    新型コロナは2019年9月にはイタリアに広がっていた──新研究
  • トランプが残したデマ地獄で「Qアノン」が共和党を乗っ取る日

    QAnon Believers Have Lost Their Savior, But Their Power is Growing <「救世主」と仰ぐトランプが大統領でなくなれば、Qアノンも自然消滅すると思ったら大間違いだと専門家は言う。陰謀論は、共和党支持者の心に深く巣っているからだ> 根拠なき陰謀論を唱える集団「QAnon(Qアノン)」の支持者たちは長年、ドナルド・トランプ米大統領が自分たちの主張の正しさを証明し、「サタン崇拝の小児性愛者たち」を成敗する日を待ち望んできた。 彼らは、トランプはいずれ来る「最後の審判」へ向けて「ディープステート(アメリカを動かす影の政府)」や(民主党の大物政治家やハリウッドセレブのような)児童性愛者たちを相手に戦っている」と主張する。そして「ザ・ストーム(嵐)」の襲来とともにトランプは世界を救い、悪人たちは報いを受けるという。 だがトランプが大統領選

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    emonkak
    emonkak 2020/11/16
  • トランプでもトランプに投票した7000万人でもない、米大統領選の真の「敗者」とは

    <都市部、マイノリティーを狙い撃ちにした共和党の「投票抑制策」をたっぷりご紹介。こんなことをしていたらアメリカの民主主義は壊れてしまう......。誌「米大統領選2020 アメリカの一番長い日」特集より> 選挙不正だ! Stop the count !( 集計を止めろ!)訴えるぞ!大統領選挙でこんな荒らげた声を聞くのは今回が初めてではない。今ニュースで流れている光景は、2000年に民主党のアル・ゴア候補と共和党のジョージ・W・ブッシュ候補が対決したときとそっくりだ。 突然だが、ここでクイズ。あのとき、全国で1億人以上が投票したが、果たして何人の票で大統領が決まったでしょうか? 僕が思う正解は「5人」。 説明しよう。2000年のフロリダ州の選挙は問題だらけだった。票の集計が終わった段階では1784票差でブッシュが優位だったが、僅差のため再集計が始まった。さらに、機械トラブルによる無効票が非

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    emonkak
    emonkak 2020/11/16
  • 追い込まれたトランプが、自分で自分を恩赦する?

    ホワイトハウス前に貼られた「You're fired!(お前はクビだ!)」のプラカード Hannah Mckay-REUTERS <このタイミングで国防長官を更迭する異常事態、トランプ政権の幕引きには「ペンスのクーデター」も必要なのか> 先週末11月7日(土)にアメリカの各メディアがバイデン候補の当確を報じ、バイデンはその晩にデラウェア州で勝利宣言を行いました。その一方で、トランプ大統領は慣例となっている敗北宣言をまだしておらず、依然として徹底抗戦の構えを崩していません。 そんな中、週明け9日にトランプは、かねてから確執の噂のあったエスパー国防長官を更迭しました。つまり、国防長官のポジションにイエスマンを送り込もうというわけですから、そこにはキナ臭いものが感じられます。 例えばですが、国防関連の記録から大統領として行った言動のうち、将来問題になりそうな部分の証拠隠滅を図るとか、あるいは退任

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    emonkak 2020/11/16
  • 日本のマスコミはなぜ「推定無罪」の原則を守らないのか?

    だけにリークがあるわけではないが、マスコミがリークをどう利用するかは重要だ Takashi Aoyama/GETTY IMAGES <警察の立場をそのまま報道し、逮捕時の写真を掲載するのは大きな問題> 20年前から日に住んでいる私だが、マスコミによる報道で、いまだに慣れないものがある。誰かが逮捕されたとき、逮捕時の映像が放送されたり、写真が掲載されたりすることだ。 フランス人からすると違和感がある。特に最近ショックを受けたのは7月に起きた事件だ。当時、新聞などにはこう書かれた。「生後3カ月ぐらいの女児を自宅マンションに約16時間置き去りにしたとして、警視庁は24日、保護責任者遺棄の疑いで東京都台東区、職業不詳の母親(30)を逮捕した。女児は搬送先の病院で死亡が確認された」。女性が逮捕されたときの写真も掲載され、結果的に「犯罪者だ」と報じるのと同じだった。 これは推定無罪の原則を全く守

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    emonkak
    emonkak 2020/11/16
  • たとえバイデンが勝っても「トランプのアメリカ」は続く

    <この大統領選の最も重要なポイントは、有権者の半数近くが嘘にまみれたトランプ政治を支持したという衝撃的な事実だ> 米大統領選で最終的にどちらが勝とうと、最も重要なポイントは大接戦になったことだ。世論調査が予想していた民主党候補ジョー・バイデン前副大統領の地滑り的勝利とは程遠く、両陣営がハラハラしながら見守る展開となった。 問題は、こうした結果がアメリカにとって何を意味するかだ。ニュース番組のコメンテーターは、現職の共和党候補ドナルド・トランプが意外なしぶとさを見せた理由として、有権者のロックダウン(都市封鎖)疲れを挙げたり、(現実はどうあれ)トランプのおかげで景気が良くなったと有権者が感じていたためだ、などと論じたりしている。 だが、そうした解説では見落とされている点がある。最終的に誰が勝とうと、最も重要なのは、アメリカの有権者の半数近くが、白人至上主義の常習的な嘘つきで、この100年で最

    たとえバイデンが勝っても「トランプのアメリカ」は続く
  • ドイツは日本の「戦友」か「戦争反省の見本」か ドイツ人はどう見ている?

    <良くも悪くも多くの日人が特別視するドイツだが、そこから見える日自身の問題点と「ドイツに学ぶべき点」とは。誌「ドイツ妄信の罠」特集より> 国際交流イベントで、よく年配の日人から「ドイツと日は第2次大戦の『戦友』ですから!」「次回はイタリア抜きで!」など、自信満々の「ドイツ愛」アピールを頂く。昭和的な好意の表れではあるが困る。なぜなら、それは彼らの「脳内ドイツ」イメージに基づく好意だからだ。 一方、この「脳内ドイツ」には別バージョンも存在する。それは、立派な「戦争反省大国」「再生エネルギー大国」としてのドイツ。 好意的なのはありがたい。でも実際には、欲と戦略をベースにしたウラ事情もあるんですよ......などと応対しているうち、私は気付く。 「脳内ドイツ」イメージは、端的に日をアゲたりサゲたりするための有効な材料として極論に陥りやすく、それは例えばネット言論と極めて親和性が高い。

    ドイツは日本の「戦友」か「戦争反省の見本」か ドイツ人はどう見ている?
  • 日本が「普通の国」を目指すのは正しい 間違っているのはプロセスだ

    <安倍前首相の誤りは、憲法を書き換えさえすれば日が「普通の国」になれると考えたことだ。誌「ドイツ妄信の罠」特集より> ドナルド・トランプが4年前のアメリカ大統領に当選したとき、日の安倍晋三前首相は世界の首脳の中でいち早く、そしていささか大げさに祝福した。 安倍がゴルフ場でトランプにお世辞を言っていたのとは対照的に、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の態度はかなり冷ややかだった。メルケルはトランプへの祝辞の中で、民主主義、法の支配、人種・性別・性的指向の平等といった理念を共有するのであれば、ドイツは次期政権と力を合わせたいと述べた。 なぜ、日独の首相のトーンにこれほど明確な違いが表れたのか。 当然、実利的な理由もある。ドイツNATOとEUのメンバーだ。それに対し、日は自国の安全保障を日米安保体制にほぼ全面的に依存している。安倍としては、自由や人権についてアメリカに説教することで、アメリ

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  • フランスとイスラム原理主義の果てしない「戦争」の理由

    <フランスで、また凄惨なテロ事件が起きた。なぜ、フランスばかりがイスラム原理主義テロの標的とされるのか。そこには、フランスとイスラムの間の、宗教と国家の関係をめぐる、理念的対立がある......> フランスで、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を見せながら「表現の自由」を説いていた中学教師が、イスラム原理主義過激派によって、首を切られ、殺された。現場を訪れたマクロン大統領は、この反文明的な蛮行を断罪し、イスラム原理主義を「分離主義」の元凶、共和国の敵として、徹底的に戦うことを宣明した。 テロとの戦いは、今に始まった話ではない。とりわけ、2015年のシャルリエブド紙襲撃テロ事件以降、フランスは「対テロ戦争」(当時のオランド大統領)に踏み切った。緊急事態宣言が発令され、警察と情報機関は、徹底的な捜査・摘発や要注意人物のリストアップと監視などを行ってきたが、モグラ叩きをしているようなもので、テ

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  • トイレを作っても野外排泄をやめない男たち... インドのトイレ改革「成功」の裏側

    <6億人がトイレのない生活を送るインドで、モディ首相が2014年に提唱した政策「スワッチ・バーラト」。5年間で野外排泄をゼロにする目標を掲げ、実際に2019年、モディは目標達成を宣言した。だが当に改善されたのか? 共同通信社記者の佐藤大介氏が、トイレ事情からインドの実態に迫ったルポ『13億人のトイレ――下から見た経済大国インド』(角川新書)より一部を抜粋する> 使われていないトイレ ニューデリーから車で南に約6時間。幹線道路の両脇には畑が広がり、点在するレンガ工場からは煙がのぼっている。横道に入り、陥没して水溜まりだらけの粗末な舗装道路を進んでいくと、インド西部ラジャスタン州のヒンダウン市に着いた。広大なタール砂漠を有するラジャスタン州だけあって、通りには牛のほかにラクダも闊歩している。そこからさらに1時間ほど車を走らせると、キビ畑に囲まれた小さな集落が現れた。人口約1800人のアンダン

    トイレを作っても野外排泄をやめない男たち... インドのトイレ改革「成功」の裏側
  • 韓国ネットに新たな闇 犯罪者を晒す「デジタル刑務所」、えん罪で死者も

    私刑サイト「デジタル刑務所」は今も犯罪者と思われるとする人たちの個人情報を掲載している。画像は「デジタル刑務所」からキャプチャしたものを一部加工 <ネット先進国の韓国は、ネット犯罪の闇も深い。その闇に引きずり込まれた者がさらなる闇を生み出した> 奴隷と呼ばれる女性の性搾取や幼児ポルノなどの映像を掲載した「n番部屋事件」が韓国社会を震撼させ、犯人の身辺情報公開を求める声が高まっていた今年3月、韓国のネット上に突如「デジタル刑務所」というサイトが誕生した。 韓国メディアの報道によると、このデジタル刑務所運営者の一人は、自身の親戚が「n番部屋事件」の被害者だったと語り、性犯罪に対する刑罰が軽すぎることに反対するため「デジタル刑務所」を始めたと主張しているという。 この「デジタル刑務所」というサイトは、個人情報を晒す私刑サイトだ。殺人などの重刑犯や性犯罪者、幼児虐待者、n番部屋利用者などを中心に、

    韓国ネットに新たな闇 犯罪者を晒す「デジタル刑務所」、えん罪で死者も