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丸善雄松堂 150周年記念サイト
その時私は袂の中の檸檬を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみた... その時私は袂の中の檸檬を憶い出した。本の色彩をゴチャゴチャに積みあげて、一度この檸檬で試してみたら。「そうだ」私にまた先ほどの軽やかな昂奮が帰って来た。私は手当たり次第に積みあげ、また慌しく潰し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。やっとそれはでき上がった。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。 梶井基次郎『檸檬』(新潮文庫) 明治2年、福澤諭吉の門下であった 早矢仕有的が創業した丸善。 「日本の発展と、人びとの幸福に寄与する」 という想いから 西洋の知識や文化を日本に紹介し、 人と知との出会いをつないできました。 2019年1月、丸善は150周年を迎えます。 丸善雄松堂、丸善ジュンク堂書店、 丸善出版となった私たちは 創業来の想い