【書感SS】『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(倉下忠憲) - なんかカラフルな生活

2013-03-30 【書感SS】『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(倉下忠憲) 文芸部の部室は風通しが良い。 それは夕日を浴びる白いカーテンがゆらりゆらりと寄せては返す波のように揺れている様、さらには時折本に触れる手の表面をさらって行く風からも感じることが出来る。とにかく文芸部の部室は風通しが良い。その程良い風通し、ジメジメとしない環境がこの部室に積み上げられた無数の本たちには何らかの良い影響を与えているのだろうか。はたまたそうした環境がこの場所で本を読むという行為にも良い影響を与えているのだろうか。 部室の奥、窓際には校長室にあるような仰々しい机がひとつ置かれている。かつてこの学校の校長室で使われていたものだろう。その机の上にも本が積み上げられている。場所さえあれば、そこには本が置かれてしまうのだ。 「”読書術”というものはいつの時代だってあったはずよ」 机に積み上げられた本の山が

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