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中里一日記: ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫)
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ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫) ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫)を読... ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫) ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫)を読んだら、あまりの面白さに打ちのめされた。 第一次大戦中のチェコという舞台は、卑怯なまでに素晴らしい。主人公のシュヴェイクは、チェコ人なのにどういうわけかオーストリア・ハンガリー帝国(当時チェコはこの帝国の一部だった)に忠誠心を抱いていて、開戦の報を聞くなり街頭に飛び出して「聖戦貫徹!」と叫び、ひとりでデモのようなことを始める。シュヴェイクのまわりに野次馬が集まり、やがて官憲がやってきてシュヴェイクは逮捕される。罪状は、「心にもない当てこすり(=聖戦貫徹)を叫んで群衆を扇動した」である。戦争に熱心なチェコ人などありえない、というわけだ。 逮捕後、シュヴェイクは精神鑑定にかけられる。鑑定する医師たちの集まった部屋に皇帝の肖像画があったので、シュヴェイクは「皇帝万歳!」と唱える。それを見た医師たちは