そもそもの初めから、突然どかんと火を吐く大砲の発射には、それ自体ヨーロッパの王侯と手工職人を魅了する何かがあったらしい。というのは、最初期 の大砲を製造するのにかれらが惜しみなく注ぎ込んだ努力は、この兵器の実際の威力によっては全然報われなかったからである。正味のところ、一三二六年[現 存する最古の大砲図像の年]から一世紀以上にわたって、大きな音を出すこと以外は、大砲のできることなら何でもカタパルトの方がずっとよくできた。それに もめげずに、実験は続行されたのである(*15)。 (*15) おそらく最初から

“ そもそもの初めから、突然どかんと火を吐く大砲の発射には、それ自体ヨーロッパの王侯と手工職人を魅了する何かがあったらしい。というのは、最初期 の大砲を製造するのにかれらが惜しみなく注ぎ込んだ努力は、この兵器の実際の威力によっては全然報われなかったからである。正味のところ、一三二六年[現 存する最古の大砲図像の年]から一世紀以上にわたって、大きな音を出すこと以外は、大砲のできることなら何でもカタパルトの方がずっとよくできた。それに もめげずに、実験は続行されたのである(*15)。 (*15) おそらく最初から大砲には性的象徴性がまつわっており、手工職人や王侯の火砲への不合理な投資はかなりの程度までこのことから説明できるかも知れない。私 はこの考えを Barton C. Hacker から借用した。かれはこれによく似た心理的衝動が、両世界大戦間の戦車の開発の背景にあったのではないかと次の書目

[maturi]

大航海時代≒実用性がある船ができて移動が容易になって初めて大砲がイケてる武器になった面もあるよ（地上の大砲は使えねーやつだった）という話を聞いた記憶