『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝：茶番』

東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう！ 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです ⑲ 「茶番」 １６ 「あんたら、お美津ハンと美代ちゃんを知ってますんか？」 オヤジが椅子から立ち上がった。 「ホンナラ、ヒョットして今話したんは、あの……」 お銀が絶句した。 「知ってるも何も、 そのお美津ハンと美代ちゃんを探しに来ましたんや。 あの人がお美津ハンで、さっき来てたんが美代ちゃん……」 龍蔵も、驚きが隠せない。 「ワシ、チョット呼んできますわ」 オヤジが、勝手口から急いで呼びに行った。 「この人らが探してるらしいんや、 お美津ハンの知ってる人かいな」 オヤジが急き立てる。 「……どちらさんですか？」 お美津が、顔を窺うかがう。 「ワシらは初対面ですけど

[higashimoto28]

お美津の手が震えた。