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ほうげん日記
「恐れよ。おののけ。しかして、神を信ぜよ」と、流紗河の最も繁華な四つ辻に立って、一人の若者が叫ん... 「恐れよ。おののけ。しかして、神を信ぜよ」と、流紗河の最も繁華な四つ辻に立って、一人の若者が叫んでいた。 「我々の短い生涯が、その前とあととに続く無限の大永劫の中に没入していることを思え。我々の住む狭い空間が、我々の知らぬ、また我々を売らぬ、無限の大広袤(だいこうぼう)の中に投げ込まれていることを思え。我々は鉄鎖につながれた死刑囚だ。――略――その短い間を、自己欺瞞(じこぎまん)と酩酊(めいてい)とに過ごそうとするのか?――略――その間を汝の惨めな理性を恃(たの)んで自惚れ返っているツモリか?傲慢な身の程知らずめ!クシャミ一つ、汝の貧しい理性と意志とをもってしては、左右できぬではないか。」 悟浄は声をからして叫ぶ、その女性的な高貴な風姿の青年の瞳に見入ります。そして悟浄は火のような聖(きよ)い矢が自分の魂に向かって放たれるのを感じます。 「我々のなしうるのは、ただ神を愛し己を憎むことだけだ