象とオッサン - Everything you've ever Dreamed

「彼女」は奥まったところにただずんでいた。子供たちの声が僕の背中を走り抜けていく。誰も立ち止まらない。時の流れは残酷だ。30年前の彼女はアイドルだった。たくさんの人たちに囲まれていた。華やかで、世界の中心にいるようにみえたものだ。僕は親父の肩車から頭や肩越しに彼女を眺めた。彼女の名はインディラ。上野公園にいたメスの象。今は骨格標本となって博物館の展示コーナーにいる。インディラとの再会は偶然だった。たまたま友人たちと訪れた博物館でひとりはぐれ、目の前にあった案内をみて巨大な骨格標本が、あのインディラだと気がついた。骨格だけになったインディラはあの長い鼻こそ失われていたけれど、遠くから眺めたときよりもずっと巨大に見えた。そう感じたのは、インディラよりも親父の力強さ、肩車していた親父の肉感が印象強く残っているからかもしれない。親父はインディラをさして「俺とあの象はだいたい同じ齢だ」と言っていた。

[Delete_All]

2010年ラストの日記です。来年もよろしくお願いします。振り落とされずについてきてくれよな！多謝。／id:heimin 確かにいい写真…。

[rivfi]

骨だけが残るんじゃない。言葉も残る。

[Serious]

id:Delete_All (@Delete_All): 象とオッサン - Everything You’ve Ever Dreamed

[All_Mine]

お二人（＋無免許さん）の写真をもっと見たい！と勝手に思っています/先日はありがとうございました。

[nagachika]

感動した。自分のコメントが凡庸過ぎて嫌になるけど、感動した。

[yocchi_gogo]

ほろり。一瞬一瞬を大切にしよう。あと健康第一。

[apolo925]

象とおっさん

[SeiSaguru]

今年も最後に良い物が読めてよかったなぁ…　来年もバロスとか、これひど系よりもいいなぁって思えるブクマがつけられますよーに。

[joruri]

『カメラもビデオにも残っていない想い出だけれど、何もいらない。僕の記憶がとらえていて、鮮明に、生々しく、僕が骨になるまで絶対に離さない。』／↓の平民さんの写真とセット。素敵な再会じゃないか。