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誰かの心を突き刺すために─「映画大好きポンポさん」感想─|DUK
幕を開ける 観客が映画という創作物に没入し、これは自分のための物語だと錯覚し、その感動を他者と共... 幕を開ける 観客が映画という創作物に没入し、これは自分のための物語だと錯覚し、その感動を他者と共有したいと思うのは、必ずしもその映画の完成度が高いと感じたからではない。 それどころか全体としての完成度は高いとは言えない作品が観るものの心を打つこともある。 人の心に突き刺さるような鋭さは、物語全体の完成度とは別の要素によって研ぎ澄まされるものだからだ。 映画大好きポンポさんの視聴体験は、この種の創作に必要なたったひとつの大切なことを思い出させてくれた。 劇中劇「MEISTER」をつくるもの この映画の主人公、ジーン・フィニは狂人だ。少なくとも映画製作という点に関して言えば。 青春時代のほぼ全てを映画に費やしてきた人間である彼を映画会社ペーターゼンフィルムのプロデューサーであるポンポさんが自身のアシスタントに採用したのは、「彼の眼が死んでいたから」である。 ポンポさんは言う。「幸福は創造の敵」
2021/07/21 リンク