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半七捕物帳 (岡本 綺堂)
少年時代のある晩秋の日、私は「Kのおじさん」という父や叔父の知り合いに、「おふみの一件」と言われ... 少年時代のある晩秋の日、私は「Kのおじさん」という父や叔父の知り合いに、「おふみの一件」と言われる怪談の真相を聞いた。元治元年(1864)の3月半ば、番町に住む旗本松村彦太郎の家に、妹のお道が三歳の娘お春を連れて帰ってきた。お道は小石川の旗本小幡伊織の家に嫁いでいたが、夜毎その枕もとに散らし髪、びしょぬれの女が現れ、一緒に寝ている娘のお春までが「ふみが来た!」と叫ぶというのだ。半信半疑の松村・小幡の眼前で、またもお春は「ふみが来た!」と悲鳴を上げた。この一件に首を突っ込んだKのおじさんが、神田の岡っ引半七に相談を持ちかけると、半七は二・三の質問でたちどころに真相を看破するのであった。(ぷんきゅのちち) 大正6年~昭和12年まで断続的に書き継がれたおなじみ半七捕物帳シリーズの第1回作品。雑誌『文藝倶楽部』大正6年1月号に掲載された。 ぷんきゅのちちさんによる、より詳細な解説はこちら。 「半七