無冠となって約1年。とうとうこの男が復活の狼煙をあげた。さすがの勝負強さで掴んだ、キャリアで初となる王位戦の舞台。再び視界に王者を捉えた今、不惑となった名手・渡辺明の胸中はいかに。 発売中のNumber1099号[王位戦挑戦者インタビュー]渡辺明「リアリストの帰還」より内容を一部抜粋してお届けします。 藤井聡太に敗れて名人位を失ったのは昨年の6月1日のこと。19年ぶりに無冠となった渡辺明九段は、その日の夜遅く、Twitter(現・X)でファンへの感謝と失冠の心境を綴っていた。「主催新聞社の取材を断ってしまったので、なにかコメントを出さなきゃまずいかなと思ったんです。自分で書くのが、一番間違いがないですから」と、いかにも渡辺らしい対応。必要と判断した軌道修正をためらいなくサッとできるのが大きな強みの一つだ。 そして渡辺が、1年の雌伏を経てタイトル戦の舞台に戻ってくる。7月6、7日、愛知県名古