経済効果が疑わしい減税に国民が振り回されているように見える。 所得税と住民税の定額減税が今月から始まる。岸田文雄首相の肝いりで、政府は国民へのアピールに躍起だ。 定額減税の対象者は年収2千万円以下の納税者と扶養家族で、減税額は1人当たり所得税3万円、住民税1万円の計4万円となる。1日以降に支給される給与や賞与に減税が反映される。 仕組みは複雑だ。収入や世帯構成によって、所得税の減税が1度で終わる人、年末まで続く人、納税額が少なく差額を給付される人などさまざまだ。減税を受けられない住民税非課税世帯には、別に現金給付がある。 定額減税は納税者の負担を一時的に軽減する措置に過ぎない。減税分がそのまま貯蓄に回れば、経済対策としての効果は薄まる。 減税に込めた政府の意図は経済効果だけではない。 派閥の裏金事件で内閣支持率は低迷が続く。定額減税を政権浮揚に利用する思惑はあからさまだ。首相は先月の自民党