学校の空気についていけず不登校に 英人はこうもつづける。 「うちのクリニックには、学校の先生方も治療に来ていますが、話を聞いて同情することもあります。今の学校の中では、子供たちみんなの学力を上げ、みんなをおとなしくさせなければならない。それができなければ失敗と見なされる。これでは先生も生徒も大変ですよね」 英人はあるべき関係性を「Good enough mother」という概念を用いて説明する。これは「ほどよい母親」という意味であり、家庭では、完璧な親ではなく、むしろほどほどの親であった方が、子供は自分を追いつめずに、主体性を持って自由闊達に育つという含意がある。 学校もそれと同じだ。教師も等身大で、よいところもダメなところも見せることが出来る「ほどほどの教師」であれば、それを見た生徒も、それで大丈夫なんだと考える。このため不完全な自分も受け入れて、自分らしくいられるし、教師も「完璧な教師
現行の学習指導要領において、学びの核として位置付けられている「総合的な学習の時間」。しかし、教科書のない学びに対し、カリキュラムづくりの負担が大きいと感じている教員や、「調べ学習で終わってしまう」「子どもが主体的に取り組まない」などの課題を感じている教員も多い。そうした中、学年の通期の学習における概念を核に、総合的な学習の時間のカリキュラムづくりに取り組んでいるのが、東京都三鷹市立第三小学校(山下裕司校長、児童723人)の山下徹主任教諭だ。4年生124人が昨年10月から取り組む「未来の暮らしを考える」プロジェクトを追った。 「循環」を核に、いくつものプロジェクトを進行 365日のうち、晴れるのはわずか5日の「雨のやまない世界」、はるか上空の空中都市、特殊なモビリティで空を移動する「空中で暮らす世界」、週末に月で過ごすのが当たり前の「月を行き来する世界」……。実はこれらは今の社会課題や最新の
それゆえ、フランスでは不登校の対応は公的機関が行い、特別なサポートも公的予算によってなされる。その予算確保の社会的同意を得るため、フランス教育省はホームページに「学校からの早期退出は社会的コストである」と明記している。市民も公的サービスの費用を税金として払っているので、子どもに合った教育を提供できていなければ、それは公的機関の落ち度だと考える。 とくに「平等」については、学校が重要な役割を担う。フランス政府は、1882年より「医師の診断のない月2日以上の欠席」への対応を学校側に求めるようになった。1989年には、「平等の原則」として「どのような家庭出身の子どもでも社会的に成功できることを学校が可能にする」と打ち出している。 さらに1996年の「欠席予防の通達」により、「心理面、知能面、感情面、愛情面、社会に適合する能力、成熟」のすべての面において学校が子どもの成長を支えることが定められた。
1月27日(土)のNHKスペシャルは、大きな岐路に立つ“学校”のこれからを特集します。 日本の教育は、壁にぶち当たっている!?不登校の小中学生が30万人に迫るいま、学校に必要なこととは? 学びの場をめぐる大問題を、子どもたち、そして教育に携わる大人たちと共に考えていきます! 第1部:放送は夜7時30分から! “学校”の主人公、子どもといっしょに「NHKスペシャル」! 急増する不登校の小中学生が、全国で30万人に達しようとしている。なぜこれほど多くの子どもたちが学校に行けない、または行かないのか。教育学者は「近代に始まった学校教育が壁にぶち当たっている」として、「学校のあり方」を根本から考え直すことが必要だと指摘する。 第1部では、国内外の教育現場の最前線を取材。韓国で人気の高まっている“生徒が主体の学校”や、「悩む子どもを絶対に一人にさせない」というフランスの徹底した取り組みを紹介する。一
今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。 激務と言われる日本の教育現場。そのブラックぶりを反映してか教員試験の倍率は年々下がり続け、人手不足が深刻化しています。学校の先生の負担がなかなか軽減されない理由の一つとして、入山先生は「デジタル化の後れ」を指摘。DXに成功したある旅館の事例から、デジタルに弱いとされる年配世代でもたちまちツールを使いこなせるようになる秘訣を探ります。 【音声版の試聴はこちら】(再生時間:22分12秒)※クリックすると音声が流れます
一部の保護者から過剰な苦情や不当な要求を受け、疲弊する教員が後を絶たない。こうしたストレスから教員を解放しようと、文部科学省は2024年度当初予算案に「行政による学校問題解決のための支援体制の構築に向けたモデル事業」(1億円)を計上した。学校と保護者・地域間のトラブルを、教育委員会などに置かれたコーディネーターを中心に解決する仕組みを作るという。事業の狙いについて、同省初等中等教育企画課教育制度改革室の中川若菜室長補佐に聞いた。 「学校だけでは限界」困難なケース、自治体が支援 「学校と保護者は本来、学校運営上の重要なパートナーで、信頼に基づく対等な関係が大切。しかし、一部の保護者から難しい苦情や要求を受け、学校だけで抱え込むのは限界だという声が上がっている」 中川さんはこう話す。22年度の教員勤務実態調査からも、保護者・PTA対応に対して「重要だが負担は大きく、やりがいも小さい」と感じてい
昨年は『協働する探究のデザイン』を5月に上梓した後、インクルーシブ教育のFox Projectが本格稼働したので、もうてんてこ舞い。活動ばかりで趣味のブログが全然書けない年でした。「活動しなさい」というメッセージだったのだと思っていますが、やっぱり色々読んだり考えたことは記録に残しておきたいもの。ということで新年の決意(!?)ではありますが、今年は頑張って書いていきたいと思います。 そして、年最初のテーマは「アートと教育」。アートと教育の関係性について興味を持つきっかけとなったのはやはりHigh Tech Highでした。High Tech Highのカリキュラム作成・評価方法、プロジェクトの質を上げるための批評、最終発表の場(Exhibition)、制作物の展示のキュレーションには、それこそアートやクラフトマンシップのエッセンスがたくさん詰まっています。そして、同校の理論的支柱となる米国
コンテンツブロックが有効であることを検知しました。 このサイトを利用するには、コンテンツブロック機能(広告ブロック機能を持つ拡張機能等)を無効にしてページを再読み込みしてください。 ✕
ベテランの小学校教員たちは、おおむね10年ごとの学習指導要領の改訂の度に、授業時数が子どもたちの生活に合わなくなってきたと感じている——。東京学芸大の大森直樹教授(教育史)が1月18日に発表した調査結果で、こんな傾向が明らかになった。1日当たりの標準授業時数は「ゆとり教育」と呼ばれた1998年の学習指導要領も含め、直近3度の改訂によって増加の一途をたどっており、大森教授は「多くの教員は、今の子どもたちには過重な負荷がかかっていると感じている」と指摘。小学校については、週25コマ(1日5コマ)に収まる授業時数とすることを提案した。(※記事中、学習指導要領を説明する際の西暦は改訂年を表す) 調査は2023年7〜9月、日本教職員組合(日教組)の関係団体である一般財団法人「教育文化総合研究所」を通じ、小学校教員(一部退職者を含む)を対象として実施した。自身が教員として経験した学習指導要領に基づく標
1934年、滋賀県生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所や東京12チャンネル(現・テレビ東京)を経て、1977年からフリー。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」などでテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ「ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)」受賞。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。近著に『さらば総理』(朝日新聞出版)、『人生は天国か、それとも地獄か』(佐藤優氏との共著、白秋社)、『全身ジャーナリスト』(集英社)など。2023年1月、YouTube「田原総一朗チャンネル」を開設。 田原総一朗の覧古考新 時の首相や財界の大物といった巨大権力へ真正面に挑み、医療、原発、宗教、メディアなどのタブーへも鋭く切り込む反骨のジャーナリスト・田原総一朗氏。戦後の生き字引であるこの稀代の論
岐阜市の教育施策の成果と今後の方向性について議論する「Gifu MIRAI’s Education 3Days」が1月10日から12日までの3日間、オンラインで開催された。12日には京都大学総合博物館の塩瀬隆之准教授を講師に迎え、「学びの多様化を実現する学校」をテーマに、同市立草潤中学校の取り組みや、今年度からスタートした市内5校の中学校における校内フリースペースについて意見が交わされた。 全国的に不登校児童生徒数が増加する中、岐阜市でも不登校児童生徒はこの5年間で約2倍に増え、2022年度は1126人だった。同市では「いつでも・どこでも・だれかとつながる 誰一人取り残さない不登校対策」を掲げ、21年4月に中部地方初となる公立の「学びの多様化学校」として草潤中を開校。そこに通う生徒たちが「安心できる居場所」「信頼できる大人」「個別最適な学び」があることで、自分が大事にされている実感を得て、
国立大学法人・奈良教育大付属小(奈良市)で16日、教育法令を無視した不適切な指導の実態が明らかになった。校長の権限が機能せず、一部の教員が実権をにぎる閉鎖的な環境が問題の根底にあったとみられる。先進的な授業研究を担い、全国の学校の模範となる役割が期待される国立校の不祥事は、開かれた教育現場の必要性を物語っている。 「人事が硬直した閉鎖的な環境が、一部の教員たちによる独善的な授業を許してきたのだろう」。学校関係者の1人は、今回の問題の背景をこう指摘する。 公立校では、教員は学校間を転任し、教育委員会で教育行政に携わりながらキャリアを重ねていくのが一般的なステップだ。国立校でも、地域の教委と交流を行い、校外から教員を受け入れているケースは少なくない。 しかし、関係者によると、同校では令和元年度以降、奈良県教委から校長や教員の派遣を受けるようになるまで、長期にわたり校外との人事交流はなかったとい
子どもが小学校高学年以降になると、「偏差値」を意識する場面が増えてきます。受験の世界ではいまだに偏差値が重要な指標として扱われているため、偏差値とまったく関わらずに子育てをすることは難しいようです。では、親は子育ての中で偏差値をどのように捉え、子どもに伝えていけばよいのでしょうか。高い偏差値の大学を目指して子どもを教育することが、本当に正解なのでしょうか。教育社会学が専門で、学歴と所得の関係など高等教育の効用に詳しい、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の濱中淳子さんに話を聞きました。 【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】 (1) クラスで「ぼっち」の子に親が言ってはいけない言葉は (2) 将来の学力にも影響 小学校最後の3年間で学ぶべきことは (3) 「偏差値マウント」を持ってしまった子に親が伝えるべきこと ←今回はココ ◆これまでの記事一覧はコチラ 「偏差値が高い大学を卒業するほ
国際的な存在感を失い安く買い叩かれる日本。アメリカ、タイ、ラオス、唐津で暮らした中川淳一郎氏が怒りと共にダサさ脱却を考える『日本をダサくした「空気」 怒りと希望の日本人論』(徳間書店)から一部抜粋して紹介する。 校則・横並び教育が「他人の目恐怖症」を作る 日本人の特質はいかにして培われたのだろうか。大きな影響を与えたのは校則と教育である。コロナ騒動では、商業施設や公共交通機関でのマスク着用強制に異議を呈すると「ルールはルール」「施設管理権があるから店の決めた通りにしろ」と猛烈に叩かれた。 子供の頃から画一的な人間を作り出すのに、日本の初等教育は存分にその力を発揮した。 授業の開始時刻や終了時刻を守るのは当然重要だが、どうでもいいことに制限が多過ぎたのである。ここから先は、あくまでも私が神奈川県川崎市宮前区と東京都立川市の公立小中学校と、アメリカ・イリノイ州の公立中高に通った時の例である。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く