45年前、みかんの有機栽培を目指してたった3人から始まった「無茶々園」。今では地域協同組合として、地域の農産物や海産物、加工品や真珠なども広く販売する。数年前からは福祉事業も展開。雇用を生み、地域の若い担い手を呼び込んできた。今後は、エネルギー自給や観光事業にも取り組む計画だ。こうした挑戦の先に描くのは、「自立した地域」の姿。つねに10年、20年先を見据えて「種をまいてきた」という無茶々園の取り組みを紹介する。 45年かけて、目指してきたもの 愛媛県の南西部、入り組んだ海岸沿いに車を走らせると、無茶々園の農地が7割を占める西予市明浜町狩浜地区にたどり着く。山と海の間のわずかな平地に家が密集し、急峻な斜面は段々畑で埋め尽くされている。白い石灰岩が特徴的な石垣は、江戸時代から先人がこつこつと築いてきたものだ。 地域の先人たちが、長い時間をかけて築いた段々畑(写真=坂本博和) この段々畑で、でき